“ROA”とは?仕事で使える経営分析について詳しく解説

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    会社の帳簿や決算など、数字を扱った仕事をしていると、時折聞き馴染みのない言葉に出会ったりするものですよね。筆者自身も、経理や財務の仕事を始めた頃は、毎日が勉強の連続でした。

    今回は、経営分析時に使う単語として出てくる「ROA」について解説をしていきます。

    アルファベットの頭文字による指標の場合、具体的なイメージがしづらく、なかなか単語として頭に入ってこないですよね。
    そこで本記事では、ROAを多角的にとらえ、経営指標としてのROAについての理解を深めていくための観点を複数紹介していきます。

    ちなみに、筆者は税理士事務所で約3年間働いた経験があり、顧問先企業の経営分析をする際にも、今回ご説明するようなROAをはじめとする業績指標を使用したことがあります。
    本記事は、より現場に近い立場から、経理初心者の方でも理解できるよう、平易な文章でご説明をさせて頂きます。

    ROAを理解する前に

    まずは、「ROAとは何か」という点について、簡単に見ていきましょう。
    ROAは、「Return On Assets(リターン・オン・アセッツ)」の頭文字を取った言葉で、日本語にすると「総資産利益率」という意味になります。

    これを言葉のままに理解するためには、いくつか前提となる知識が必要になりますので、1つずつ見ていきましょう。

    “RO”から始まる業績指標の共通点

    今回ご紹介する「ROA」に似た言葉が2つあります。
    それが、「ROE」や「ROIC」です。

    全て”RO”で始まっていますが、それぞれ正式名称にすると下記のようになります。

    • ROA(Return On Assets):総資産利益率
    • ROE(Return On Equity):自己資本利益率
    • ROIC(Return On Invested Capital):投下資本利益率

    それぞれの指標の共通する部分をわかりやすく太字下線表示してみました。
    どれも「利益率」についての指標であることがわかりますね。

    つまり、どの指標も事業に資金を投入した結果を表しておりますが、共通していない部分は、「投下したものを何にするかの違い」を表しており、何に対しての利益なのかを区別するために、3つの指標を使い分けることとなります。

    ROE』についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

    ROEとは?経営判断にどうやって使われる?徹底的に解説します!

    ROAとは?

    では早速、ROAの中身について深堀りをしていきましょう。

    まずは、ROAという指標に何を使うのかを見ていきます。

    ROAを出すのに必要な要素

    前述したように、ROAを日本語にすると「総資産利益率」と訳されます。この言葉を分解すると「総資産」と「利益率」になります。

    つまり、貸借対照表(BS)の「資産」の額と、損益計算書(PL)の「当期純利益」の額が求められれば、ROAを求めるために必要な要素が揃うことになります。

    ROAを求める式

    次に、どのような式でROAを求めるかを見ていきましょう。ROAを求め方は、以下の式となります。

    ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

    式だけだと少し分かりにくいので、数字を当てはめた例を作りました。

    総資産100億円、当期純利益10億円の「サンプル株式会社」という企業があったとして、サンプル株式会社のROAを求める式は下記となります。

    サンプル株式会社のROA(%) = 10億円 ÷ 100億円 × 100 = 10%
    つまり、サンプル株式会社のROAは10%という解を求めることができます。

    ROAの評価について

    式は理解して頂けたと思いますが、計算して出たROAに対してどの様な評価をすれば良いかについてはまだお話ししていません。次は、サンプル株式会社のROAである10%という数字の評価をしていきましょう。

    ROAの式の説明をする際に、具体例としてサンプル株式会社のROAが5%であることを求めました。この数字が「優良企業に値する数字なのか」というのは、結論から申し上げると、どんな業種かによって異なってきます。

    ただ、ひとつの目安としては、ROAが5%以上であれば、優良企業であるかどうかを判断する1つのハードルを超えることになると考えられます。

    なぜ業種によって目安のROAの数値が異なるのか

    こちらについても、具体例を見ていきましょう。

    例えば、製造業を営んでいる企業があるとします。製造業は、製品を作るために機械や工場を多く持っているケースが多く、一般的に、利益に対する資産の額が大きくなる傾向にあります。そのためROAも、他の業種と比べると小さくなる傾向があります。

    次に、ITサービス業を営む企業があるとします。ITサービス業は、ビジネスの大半がインターネット上で完結するケースが多く、資産はパソコンやオフィスなど、他の業種に比べて少ない場合が多いです。そのため、利益に対する資産の額は小さくなり、ROAも、他の業種と比べると大きくなる傾向があります。

    これらをROAによって一挙に比較することはできませんので、ROAは、異なる業種の優良性の比較に使う指標ではなく、同一企業の優良性の推移などを見るのに適した指標ということができるでしょう。

    ROAを高めるには

    ここまでで、ROAの求め方や、ROAの評価について理解して頂けたと思います。そしてここからは、「ROAをどのように高めていけば良いのか」についての2つのアプローチをご紹介致します。

    “ROAが高い”とはどのような状態?

    ROAが高い状態というのは、総資産に対し、効率的に利益を上げているという状態だと言い換えることができます。この状態に持っていくために必要なアプローチを、ROAの式を思い浮かべながら考えていきましょう。

    ROAを求める式をもう一度掲載しておきます。
    ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100

    当期純利益を上げる

    まずは、ROAを求める式の分子に当たる「当期純利益」を上げていくことによってROAを高める、という考え方です。当期純利益を上げるには、一般的には売上を伸ばすか経費を抑えるかしかありません。

    売上はどうしても他社・他者が絡む分、不確定要素が多く、なかなか意図的に伸ばすのは難しいですが、経費を今よりも抑えるのは、可能かもしれません。ROAを上げるためだけでなく、企業を存続させる上でも、経費削減は有効な手段と言えますね。

    経費削減 アイデア』について詳しく知りたい方はこちら

    上司に経費削減を求められたときのアイデア22選!経理・総務は必見

    不要な総資産を減らす

    続いて、ROAを求める式の分母にあたる「総資産」の額を減らすことでも、ROAを高めることが可能です。総資産を減らす、といってもなかなか想像ができないかもしれませんので、一例を挙げてみようと思います。

    • 金融機関からの借入金を減らす
    • 買掛金、未払金を減らす
    • 不要な固定資産(土地、建物など)を売却する

    これらは一般的に企業の損益に影響しませんので、同じ当期純利益(つまり分子が変わらない)であれば、分母にあたる総資産の額が減ることによって、ROAが上昇する、という仕組みです。

    ※固定資産売却については、損益に影響する場合もあり、結果的にROAに影響を与える可能性もあります。

    こちらのアプローチは、経営者や役員レベルでないと判断ができない場合が多く、一般的にはアプローチの難しいやり方ではあると思いますが、ROAを高める方法の1つとして理解しておくと良いと思います。

    ROAが低い企業が悪い企業とは限らない

    ここまでROAについて見てきましたが、冒頭でも述べたように、ROAの評価のみをもって企業の評価とすることはできません。他にも様々な評価基準があり、複合的に検証をすることで、企業価値は算出されていきます。

    例えば、ROAが低い理由が下記のような場合を考えてみましょう。

    • 新事業を立ち上げるために借入をした
    • まだ売上になっていない、技術開発中のプロジェクトがある

    1つ目は、総資産が一時的に大きくなってしまったことによってROAが低くなったパターン、そして2つ目は、売上がまだ計上されていないことによって当期純利益が落ち、ROAが低くなったパターンです。

    どちらもまだ将来の売上が計上できていないだけで、数年後、ROAが上がる可能性が高い企業と評価することもできると思います。

    ROAが高い企業が優良企業だとも限らない

    同じように、ROAが高い企業が優良企業だとも限らないわけです。

    こちらも具体例を見ていきましょう。

    • 総資産のうち、負債の比率が高い
    • 当期純利益は大きいが、営業利益や経常利益が小さい(もしくは赤字)

    1つ目は、利益が出ていても、そのほとんどを借入金の返済や、買掛・未払金の精算に充てなければいけないことにより、企業のキャッシュフローに問題がある場合です。
    損益計算書だけでなく、貸借対照表やキャッシュフロー計算書も経営分析に重要な役割を担っていることがわかる良い例だと思います。

    そして2つ目は、特別利益の計上によってROAが高まっているパターンです。例えば、事業が上手くいっておらず、営業利益が赤字になってしまい、資金ショートが目前になってしまったような場合に、会社の保有している固定資産を売却したりしてなんとかキャッシュを生み出した場合に、このような現象が起こります。

    このように、ROAのみで企業の評価をすることにはリスクがあることにも注意を向けましょう。

    おわりに

    今回は、企業の分析をする指標になる「ROA」の基礎について深堀りをしてきました。
    ここでは説明しきれなかった概念や、「ROE」や「ROIC」などの似たような指標もありますが、まずはこの「ROA」について正確に理解をすることで、他の知識についても理解しやすくなると思いますので、わからない部分があれば、もう一度じっくり読み直してみてください。