減価償却の『定率法』とは?『定額法』との違いや計算方法を徹底解説!!

減価償却は、その仕組みが複雑でなかなか理解することが難しい会計処理の一つです。しかし、理解をすることで経理担当者の方はもちろん、経営者の方にも多くのメリットがあります。ここでは、減価償却を一から理解する上で必要な知識を網羅的にまとめるとともに、注意すべき点についても紹介していきます。

そもそも減価償却とは

事業に使われる建物、機械装置、車両運搬具など、長期的にわたって使用し、一定金額以上であるものは固定資産と呼ばれます。減価償却では、これらの固定資産を取得するのに要した金額(取得価値)を、使用するであろう期間(耐用年数)で分割して費用計上するという考え方です。

どうして減価償却を行わなくてはいけないのか

ではなぜ、わざわざ面倒臭い複雑な減価償却を行わなくてはいけないのでしょうか。そこには、「費用収益対応の原則」という決まりがあります。これを簡単に言えば、「費用と収益を対応させなくてはいけない」というものです。

もちろんのことですが、固定資産となるものを購入した時点では購入費用だけが支出額として存在し、収益は発生しない状態です。収益は固定資産を使用していく期間に発生するため、購入費用と収益にはタイムラグがあります。これでは収益がないのに費用だけが存在する時期ができてしまい、適切に企業の損益を計算することができません。

そこで、適切に会計処理を行うために原則に従い、固定資産に支払った取得価値を一括計上するのではなく、収益を得るために必要であるであろう耐用年数を考慮して段階的に会計処理をしていく必要があるのです。

減価償却の対象になるものとは?

固定資産の会計処理を適切に行うのが減価償却であると前述しましたが、主に減価償却の対象となるものは以下の種類があります。

有形固定資産

固定資産には有形固定資産と無形固定資産の2種類があります。

有形固定資産は、事業のために長期的(1年以上)に使用される資産です。有形固定資産の例としては、建物及び付属設備・構築物・機会及び装置・船舶・土地・車両運搬具・工具・器具備品などがあります。

ではこれらすべてが減価償却の対象となるのかというと、そうではありません。実は有形固定資産の中でも減価償却の対象となるものとならないものが存在します。

減価償却資産

有形固定資産の中には、減価償却資と非減価償却資産が混在しています。

減価償却資産には、建物・建物附属設備・構築物・船舶・車両運搬具・工具・器具備品・機械装置などがあります。これらの資産は減価償却の対象となります。

非減価償却資産

また非減価償却資産には、土地・美術品等の資産が含まれます。これらは減価償却の対象にはなりません。その理由は、時間の経過によって価値が影響を受けないという点にあります。土地や美術品には絶対的価値は存在せず、時代や時期によって値段が異なります。そのため、購入時と資産価値が変わらない、もしくは価値が上がるという現状が頻繁に起こるのです。

減価償却は、長期的にわたって使用した際の資産価値の減少分を時間の経過に応じて費用計上するというものなので、普遍的に価値が落ちないものは対象とならないのです。

無形固定資産

無形固定資産とはその名の通り、目に見えない資産のことです。例では漁業権・特許権・商標権などがあります。

減価償却における『耐用年数』と『取得価値』とは

耐用年数

耐用年数とは、減価償却資産がどれくらいの期間使用できるのかというものです。資産は、時間の経過によって物理的に摩耗したりするとともに経済的にもその価値は落ちていきます。そのため、減価償却することによって耐用年数ごとに費用計上していき、経費(減価償却費)としていくのです。

例えば、耐用年数が10年の100万円の減価償却資産を購入した場合、10年間の期間をかけて100万円を計上し、その分の費用を減価償却費として処理していくのです。しかし、物や使い方によって耐用年数は異なるため、同じ価値の資産であったとしても耐用年数の長短によっては、減価償却費も異なります。

減価償却の耐用年数』について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

減価償却の耐用年数とは?減価償却を基礎からわかりやすく

取得価値

取得価値とは、減価償却資産を購入した時点でのその価値のことです。またそれだけではなく、資産を運搬するのに発生した運送料や設置するのに必要な設置費用のような実際に使用できる形にするまでに関わる費用も取得価値に含まれます。

減価償却の『定率法』とは

減価償却には大きく分けて定率法定額法があります。では定率法とはどのようなものなのでしょうか。

定率法は最初の年度の減価償却率がもっとも高く、年々減少していきます。そのため初年度の大きな節税効果を期待できるとともに費用の回収が早い、というのが特徴として挙げられます。減価償却資産に用いた費用を早い段階で回収することで、その分の費用を他の事業に投資することができるなどのメリットもあります。その一方、計算が複雑なので注意が必要な償却方法です。

イメージしてみましょう。獲得価値100万円、耐用年数5年の減価償却資産を購入したとします。初年度は資産の状態も良く、まだ価値が高いため多くの費用(100万円にもっとも近い金額)を減価償却費として計上します。しかし、次の年はどうでしょうか。新品と中古では価値が異なるのと同様に、5年間かけてその資産は物理的に劣化するとともに価値も逓減していきます。つまり定率法は、毎年の資産価値に合わせた費用を計上しているような償却方法だと考えることができるのです。

また、法人税法では原則定率法による会計処理が求められており、法人の場合は基本的に定率法で計算します。しかしH28年4/1の改正により、定額法でしか計算ができない固定資産もあるので種類によっては調べる必要があります。

『定額法』との違い

定額法の特徴としては、原則毎年の減価償却費が同額であり、個人事業主は原則として定額法による会計処理が求められています。

また、ソフトウェアなどは定額法による計算の方が望ましいとされています。しかし、そのほかにもH28年4/1から建物・建物付属設備・構築物は定額法のみ適応となったので、減価償却資産の種類によっては定額法しか選択肢がないということを知っておくとよいでしょう。

ソフトウェア 勘定科目』について詳しく知りたい方はこちら

ソフトウェア資産計上時の勘定科目や仕訳は?経費精算の仕方をわかりやすくご紹介!

『旧定額法』とは?

H19年3/31までに獲得した減価償却資産に関しては、旧定額法による計算が必要か調べなくてはいけません。旧定額法の特徴は定額法と同様で、毎年の償却費が同額であるとこが挙げられます。計算方法は、 [取得価額×90%×旧定額法の償却率] となっています。

減価償却の定率法にも3種類ある!?

税制法の改定により、定率法の償却率には3種類があります。いつ、どんな資産を獲得したかによっては償却率が異なるので注意が必要です。

旧定率法

旧定額法と同じく、H19年3/31までに獲得した減価償却資産に関しては旧定率法による計算が必要なのか調べなくてはいけません。

計算方法は [未償却残高×旧定率法の償却率] となっています。また未償却残高とは、取得価値から償却済みの費用の合計額を引いた金額を示します。用語だけではわかりづらいところがあると思いますので、具体的な計算方法について以下で述べたいと思います。

250%償却

H19年4/1~H24年3/31までに取得した減価償却資産に対して定率法を用いる場合、250%償却というものが使われます。なぜこのような呼び名なのかというと、250%償却では、償却率が定額法の2.5倍に設定されているためです。

200%償却

H24年4/1以降に取得した減価償却資産に対して定率法を用いる場合、200%定率法が適応されます。こちらも250%償却と同様、その名の由来は償却率が定額法の2倍に設定されているためです。

減価償却の『定率法』の計算方法は?

では実際に定率法の計算方法についてみていきましょう。

計算式は [未償却残高×定率法の償却率] です。しかし、この金額が償却保証額(最低限これを下回ってはいけない金額)を下回った年から終了年度までは、 [改定取得価額×改定償却率] という計算に変わります。この計算による償却額は毎年同額となり、実は定額法による減価償却を行っているのです。

改定取得価額とは、調整前償却額が初めて償却保証額に満たないこととなる年の期首未償却残高をいいます。

『定率法』の計算方法

具体的に理解していきましょう。例えば、取得価額50万円、耐用年数5年の減価償却資産を定率法で減価償却すると仮定します。

(耐用年数に応じた以下の数値を調べておく)

  • 定率法償却率 0.400
  • 改定償却率 0.500
  • 保証率 0.10800
  • 償却保証金 54000 [=500000×0.10800]
  • 1年目 [未償却残高×定率法の償却率] 500000×0.400=200000

    2年目 [500000-前年までの償却費の合計額] ×0.400=120000

    3年目 [500000-前年までの償却費の合計額] ×0.400=32000

    下回ってはいけない償却保証額を下回ったため、3年目以降は以下の定額法に切り替える。
    償却保証金を用いて計算し直すと500000×0.10800=54000

    4年目 500000×0.10800=54000

    5年目 54000-1=53999 [期首帳簿価額-1円 < 改定取得価額×0.500]

    未償却残高である1円を帳簿に残すことによって、減価償却資産の存在を表します。この1円がなかったら、5年目の帳簿上には資産の存在を表すことができなくなり、ややこしくなります。

    Excelを用いた『定率法』の計算

    定率法の計算をVDB関数を用いて行うことも可能です。しかし、会計上では償却率を整数で表すために数値を切り捨てにしますが、Excelでは切り捨てにしないため僅かながらも誤差が生じてしまいます。大きな誤差とまではいきませんが、実際の会計処理と同様の計算をすることはできませんのであくまで参考程度にしてください。

    定額法と比べると若干複雑な操作が必要ですが、どれくらいの金額なのか大体の数値を知りたいのであればExcelを使うことは非常に効率的です。

    減価償却の『定額法』の計算方法は?

    定率法の計算方法についてみていきましょう。計算式は [取得価額×定額法の償却率] です。

    『定額法』の計算方法

    例えば、取得価額50万円、耐用年数5年の減価償却資産を定額法で減価償却すると仮定します。

    定額法償却率 0.200

    1年目 500000×0.200=100000

    2年目 500000×0.200=100000

    3年目 500000×0.200=100000

    4年目 500000×0.200=100000

    5年目 100000-1=99999

    Excelを用いた定額法の計算

    定額法の計算はSLN関数を用いて行うことが可能です。定率法に比べ比較的簡単ですが、こちらも正確な計算はできませんのでご注意ください。

    『定率法』と『定額法』、どちらがオススメなの?

    定額法の減価償却費は一定であるという特徴により、シンプルな計算で処理を行うことができるとともに節税対策へと繋がったり、資金計画が立てやすいというメリットがあります。

    また定率法は償却までが早いので利益が減ってしまうという点があるものの、初年度の大きな節税効果が期待できます。また、早く償却し費用回収を行うことで企業にお金が残り、さらなる投資に資金を費やすことができる点もメリットの一つです。

    法人か個人事業主かによっては元から償却方法が決まっている減価償却資産もあるので、それぞれのメリットを吟味して自分に適した償却方法を選ぶことが大切です。

    減価償却 計算』について気になる方はこちら

    減価償却の計算方法は?概念や効果、計算のポイントなどについても解説

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