減価償却の計算方法は?概念や効果、計算のポイントなどについても解説

経営者だけでなく、経理上も必ず理解しておかなければならない概念の1つに「減価償却」があります。本記事を読むことによって、減価償却の考え方はもちろんのこと、減価償却が決算書にもたらす効果実務上の計算方法や、計算上のポイントなどを理解することができます。

減価償却については、理解しなければならないことも多く、計算方法も複数あります。筆者自身も、実務の減価償却に触れたての頃は、簿記の試験では遭遇しなかったような事例に沢山出会い、とても苦労した経験があります。

本記事では、減価償却の概念やその効果、実際の計算方法やそのポイントとなるところについて、1つずつ整理しながら読み進めることができるように構成しています。減価償却について網羅的に理解することは簡単ではありませんが、理解を焦らず、少しずつ課題を解決しながら読み進めてみてください。

減価償却とは?

では早速、減価償却の概念について触れていきましょう。

減価償却は、所得税法や法人税法で定められている費用計上のルールで、一定の金額を超える資産を購入した時に、一括で費用にはせず、複数年かけて費用を按分していく費用計上方法のことです。条件を箇条書きにしていくと、下記のようになります。

・所得税法や法人税法で定められている費用計上のルール

一定の金額を超える資産に適用される

・一括で費用にはせず、複数年かけて費用を按分していく

減価償却の効果

このように聞くと、一見、国が税金を取るために費用計上させない手段としてあるルールなのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれは真逆で、長期的に見れば節税効果のあるルールだったりします。

ここでは、

  • 節税効果
  • 自己金融機能
  • 適正な業績評価

上記3つの観点から、減価償却がもたらす効果についてお伝えをしていきます。

節税効果

まずは、減価償却がもたらす節税効果について見ていきましょう。

減価償却は、いわゆる費用の繰り延べだと考えられる部分があります。

例えば、「節税対策として決算ギリギリに高額な資産を買ったりしても全て費用にはならないじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、逆に翌期以降は実際にかかった費用よりも、減価償却費分が多めに計上されることになります。

一般的に、利益が大きいほど税率は上がっていきますから、減価償却によって数年間の利益が均され、数年単位で見た時の税率が抑えられる、という仕組みです。

仮に、建物・機械・自動車など購入額が高額のものを一括費用計上してしまうと、翌年以降も使うにもかかわらず費用にできなくなり、利益が増大し、それに比例して税率も増加してしまう、という状況となってしまいます。

自己金融機能

自己金融機能とは、実際に金銭的な支出をしていなくても費用計上される会計上の機能のことで、減価償却費がその代表的な事例となります。

減価償却資産を購入したとして、翌期以降、実際に支出をしていなくても費用計上されることは、減価償却費として計上される額は企業内に留まり、その分の資金が手元に残ると考えることができます。

ただし、減価償却資産を購入した事業年度で資金流出をしている状態なので、1年を超える長期で見た場合のキャッシュフローがプラスになるというわけではない点に注意しましょう。

適正な業績評価

一般的に減価償却資産は、長期に渡って会社の収益に貢献するものと考えられています。例えばパソコンや自動車、建物などは、買った年のみならず、その後数年間、場合によっては数十年間、会社で使うものだと考えられますから、可能な限りその期間に応じて費用計上をしていくのが、正しい会計処理となります。

結果的に、損益計算書(P/L)上で収益(売上高)と費用(減価償却費)が対応する形となり、貸借対照表(B/S)上の資産価値(建物・機械装置等の勘定科目)も適正に評価できる、ということになります。

減価償却資産は、金額に注目

続いて、どんなものが減価償却の対象になる資産なのかを見ていきましょう。

基本的に、減価償却資産となる基準は、「金額」によって明確に区別されます。ボーダーラインは「10万円」「20万円」「30万円」と3つあるので、順番に見ていきましょう。

10万円未満の資産は”一括費用”、それ以上は原則、全て減価償却資産

まずは「10万円」のボーダーラインについて説明します。

10万円未満の資産は、どんなものであっても一括で費用にすることになります。例えばボールペンや付箋などの事務用品は「消耗品費」や「事務費」として計上される場合が多いですね。これ以外でも、10万円以下のパソコンなんかも、一括で費用計上することができます。

逆にそれを超える資産については、基本的には全て減価償却資産となるのですが、20万円、30万円のボーダーラインもあります。続けて説明していきます。

10万円以上、20万円未満の資産は”一括償却資産”にできる

購入した資産が10万円以上であったとしても、20万円未満の資産は「一括償却資産」として計上することができます。これは選択制のため、通常の減価償却資産として計上することも、もちろん可能です。

一括償却資産として計上すると、購入月にかかわらず、3年で均等に費用按分することになります。

10万円以上30万円未満の資産は”少額減価償却資産”にできる

同じように10万円以上の資産でも、30万円未満であれば「少額減価償却資産」として一括で費用に計上することも可能です。

本制度はあくまでも特例のため、制約があります。少額減価償却資産として計上するためには、青色申告制度の利用者であることだったり、一事業年度に300万円分まで、という制約が存在しますが、どうしても購入した事業年度の利益が大きくなってしまって、少しでも資産を費用化したい場合には、本制度の利用を考えてみても良いでしょう。

減価償却を理解するための必要な3つの用語

減価償却を理解するために最低限知っておかなければならない用語が3つほどあるのでご紹介します。それが下記3つの用語です。

  • 取得価額
  • 耐用年数
  • 残存価額

では、順番に見ていきましょう。

取得価額

取得価額とは、その名の通り、減価償却資産を買った時の値段のことです。この金額を元に減価償却の計算をしていくことになります。

耐用年数

減価償却資産の種類によって、何年で費用按分していくかが異なります。これを耐用年数と呼びます。例えば、乗用車(新車)を購入した時の耐用年数は6年となっています。これを法定耐用年数と言います。

減価償却の耐用年数』について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

減価償却の耐用年数とは?減価償却を基礎からわかりやすく

残存価額

残存価額とは、耐用年数を経過した後に残しておく会計上の価値のことです。耐用年数の経過とともに0円にしてしまうと、実際にまだ使っているものであっても会計上に資産が記載できなくなってしまうため、このように金額を残しておくことで、その資産がまだ使用されていることを表します。

現在の制度では、耐用年数を経過した減価償却資産の残存価額は1円で良いこととされています。

減価償却の按分方法

では、実際に減価償却の計算方法を見ていきましょう。現在主流となっている計算方法は「定率法」「定額法」の2つです。それぞれ順番に確認していきましょう。

定率法

定率法は、減価償却資産の一定の割合を毎年、減価償却費として費用計上していく方法です。帳簿価額に対して決まった割合を減価償却費として計上するため、特徴としては、最初に減価償却費として費用計上する金額が大きくなる傾向にあります。

例えば、期首に100万円の機械装置を導入したとしましょう。この機械装置の法定耐用年数が10年だったとします。定率法による償却率が0.334だったとすると、各事業年度の減価償却の金額は下記のようになります。

  • 1年目の減価償却費:100万円 × 0.334 = 334,000円
  • 2年目の減価償却費:(100万円 – 334,000円) × 0.334 = 222,444円
  • 3年目の減価償却費:(100万円 – 334,000円 – 222,444円) × 0.334 = 148,147円

ご覧のように、徐々に減価償却費の金額が減っていっているのがわかりますね。

減価償却 定率法』について詳しく知りたい方はこちら

減価償却の『定率法』とは?『定額法』との違いや計算方法を徹底解説!!

定額法

定額法はとてもシンプルで、毎年均等な金額を減価償却費として計上する方法となります。早速、定率法と同じ例で計算してみましょう。

期首に100万円の機械装置を購入したと仮定し、法定耐用年数は10年とします。

  • 1年目の減価償却費:100万円 ÷ 10 = 10万円
  • 2年目の減価償却費:100万円 ÷ 10 = 10万円
  • 3年目の減価償却費:100万円 ÷ 10 = 10万円

もちろん、4年目以降も同様の計算方法となります。

生産高比例法というやり方も

定率法や定額法の他にも、生産高比例法などの方法もありますが、使用する場面が限られていますので、ここでは説明を割愛します。気になる方や、使用を検討する方は、ぜひ調べてみてください。

減価償却計算上のポイント

ここまでで減価償却の考え方や計算方法の基礎はお分かり頂けたと思いますが、ここでは、実務上気をつけたいポイントについて見ていきます。

年度途中に取得した資産

先ほどの例では、期首に減価償却資産を取得した場合で計算をしましたが、実際は期中に取得する場合がほとんどですよね。そういった場合は、初年度は月割りで費用計上することになります。

こちらも事例を元に考えてみましょう。12月決算の会社で、10月に100万円の機械装置を購入したと仮定し、法定耐用年数は10年とします。償却方法は定率法とします。

まず求めるのは、初年度減価償却額です。期首に取得したとすると、計算式は先ほどと同じ「100万円 × 0.334 = 334,000円」となりますね。

ここで、何月に購入したかを加味します。購入月は7月で、決算月は12月ですから、初年度で使用する期間は3ヶ月となります。そのため、初年度の減価償却費を求める計算式は下記のように変わります。

100万円 × 0.334 × 3/12 = 83,500円

初年度の減価償却費は、定率法、定額法にかかわらず、月数按分して求めます。

中古資産の耐用年数

中古資産を取得した時には、その耐用年数が、法定耐用年数よりも短くなる場合があります。これを求めるためには、新品として購入された時期を知っておく必要があります。

具体的な求め方は、下記の手順となります。

  1. 法定耐用年数の全部を経過した資産
    → その法定耐用年数の20%に相当する年数
  2. 法定耐用年数の一部を経過した資産
    → その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数がある時は、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。

言葉だけだと少々難しいので、実際に中古車(乗用車)を購入した時の事例を見ていきましょう。

まずは1つ目の事例を見ていきます。

  • 乗用車の法定耐用年数:6年
  • 初回の納車から経過した年数:7年

このような場合、既に新車として販売された日が法定耐用年数より前ですので、耐用年数を求める式は下記のようになります。

6年 × 20% = 1.2年

1年未満の端数がある時は、通常は端数は切り捨てるのですが、この事例の場合は、年数が2年に満たないため、耐用年数は2年となります。

次に、2つ目の事例を考えてみましょう。

  • 乗用車の法定耐用年数:6年
  • 初回の納車から経過した年数:3年

このような場合、まずは法定耐用年数から経過した年数を差し引き、その後、経過した年数の20%に相当する年数を加えるので、式は下記のようになります。

6年 – 3年 +(3年 × 20%) = 3.6年

こちらは、端数は切り捨て、耐用年数は3年と求めることができます。

このように、中古資産は耐用年数を求めるのが少々複雑なので、計算時には気をつけるようにしましょう。

まとめ

減価償却は、計算をする際に前提となる知識や選択肢が多く、とっつきにくい分野であることは間違いありません。しかし、一度その方法を理解してしまえば、どんな減価償却資産の計算にも応用できます。

途中で説明した一括償却資産や少額減価償却資産などは、知っているかどうかで決算の利益が変わる箇所でもあります。どんな決算書を作りたいかを逆算してこれらの制度を活用することもできますので、ぜひ、この機会に理解してみてください。

減価償却 方法』について気になる方はこちら

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