貸倒引当金とは?概念や定義、計算方法、仕訳について詳しく解説

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    売掛金を回収する際には、必ずその売掛金が回収できないリスクを伴います。本記事を読むことで、そのリスクを予め想定しておくための「貸倒引当金」という言葉の定義や概念、計算方法、仕訳方法について理解することができます。

    貸倒引当金を理解する前に

    「貸倒引当金」という言葉は、「貸倒(かしだおれ)」と「引当金(ひきあてきん)」という2つの言葉が組み合わさった言葉ですので、まずは、それぞれの意味について理解することが必要です。順番に説明いたします。

    貸し倒れとは

    一般的に、勘定科目は送り仮名が省略されるケースが多いですが、今回のように、定義や概念を説明する際に送り仮名をつけた方が適当な場合は、送り仮名をつけて解説致します。

    貸し倒れとは、得意先の倒産などにより、売掛金や貸付金などの債権が回収できなくなってしまうことをいいます。また、その金額自体を指す場合もあります。

    仕訳をする場合には、「貸倒損失」という勘定科目を用い、下記のように仕訳します。

    借方科目金額貸方科目金額
    貸倒損失100,000円売掛金100,000円

    貸倒損失は費用科目のため、借方に計上され、利益を減少させます。貸方に来ているのは、不良債権となってしまった売掛金です。この仕訳をすることによって、「回収できるはずの売掛金が、貸し倒れによって回収不能となってしまい、貸倒損失を認識した」ということになります。

    引当金とは

    企業会計原則を参照すると、引当金の定義は下記のようにされています。

    将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰り入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。

    企業会計原則 注解18より

    このままだと少しわかりにくいので、少しずつ文章を分解していくと、下記のような条件にまとめることができます。

    引当金の条件(全ての条件を満たす必要がある)

    • 将来の特定の費用、または損失である
    • 発生が当期より前(当期を含む)の出来事に起因している
    • 発生の可能性が高い
    • 発生金額を合理的な方法で見積もることができる

    以上の4条件を全て満たすことができれば、引当金として計上することが可能になる、というわけです。

    今回ご説明をする「貸倒引当金」を計上する際には、これらの4条件を全て満たすことを確認しなければなりません。

    貸倒引当金とは

    分解された言葉の意味が整理できたところで、いよいよ「貸倒引当金」について詳しく見ていきましょう。

    貸倒引当金とは、上記2つの単語を組み合わせた言葉ですから、意味も、2つの意味を包含したもの、ということになります。文章にすると、「売掛金や貸付金などの金銭債権が回収できない時(貸し倒れ)のために、その見込額をあらかじめ見積もっておき、計上しておくための引当金」といった意味になります。

    貸倒引当金は、基本的に決算整理仕訳となりますので、日常的に貸倒引当金が動くようなことはありません。

    決算整理仕訳とは?やり方を分かりやすく解説!

    貸倒引当金を計上する理由

    そもそもなぜ貸倒引当金を計上するかというと、貸倒引当金を計上することによって、損金算入が可能になり、節税効果があるからです。実際に支出が伴う費用でない分、利益が出ている会社にとっては、支払う税金を抑える有効な手段となります。

    貸倒引当金は特別な勘定科目

    貸倒引当金は、計上する際は通常、貸方に計上します。しかし、試算表や貸借対照表に記載されるのは資産の部となります。これはなぜでしょうか?これは貸し倒れの性質が関係しています。

    本来、貸し倒れは、回収できるはずの債権が回収できなくなることを意味します。このために準備するのが貸倒引当金なのですが、負債として計上してしまうと、「将来的に何らかの支払いがあるもの」という意味になってしまいます。

    貸し倒れによって起こるのは、新たな支払いではなく、回収不能債権の認識なので、厳密には、貸倒引当金は「資産のマイナス」として計上するのが望ましい、という理由から、会計ソフトなどでは資産の部にマイナスの金額が計上されるようになっています。

    貸倒引当金の計上対象となる債権

    貸倒引当金に計上することができる債権は、事業に関係のある債権に限られます。売掛金受取手形などがわかりやすい例ですね。

    その他にも、例えば金融業であれば貸付金、不動産賃貸業であれば未収地代家賃が貸倒引当金の対象になります。このように、どんな事業をしているかによって、計上できる貸倒引当金の対象は変わります。

    貸倒引当金の計算方法

    貸倒引当金の計算方法は、大きく分けて2つあります。この2つの方法は、自由に選べるわけではなく、貸倒引当金として計上された理由によって種類分けされ、それぞれ別の種類の債権として認識されます。

    • 個別評価金銭債権
    • 一括評価金銭債権

    漢字の羅列で少し難しく見えるかもしれませんが、異なっているのは「個別」か「一括」かのみです。これらがどう違うのかを見ていきましょう。

    また、下記の説明中に「繰入限度額」という言葉が出てきますが、これは、税法上で定められている「貸倒引当金に計上してもよいMAXの金額」だという理解でOKです。

    個別評価金銭債権

    個別評価金銭債権は、貸倒引当金の対象となる債権の中でも、極めて回収できない可能性が高い債権になります。例えば、得意先が債務超過の(資産よりも負債が多い)状態に陥っていたり、会社更生法の規程による更生手続開始の申立てがなされた場合などが該当します。

    個別評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額

    個別評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額は、下記区分の合計額となります。債権の種類ごとに、繰入限度額が細かく分かれていますので、分類や計算には注意が必要です。

    個別評価金銭債権繰入限度額
    会社更生法等の規定による更生が認可決定され、弁済の猶予または割賦による弁済とされる場合その事由が生じた事業年度の翌期首から5年以内に弁済される金額以外の金額
    債務者について債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがないこと等の事由がある場合取立ての見込みがないと認められる金額
    会社更生法等の規定による更生手続き開始等の申立てがなされた者に対する債権50%
    長期にわたる債務履行遅滞により経済的価値の著しい減少または弁済を受けることが著しく困難と認められる外国の政府、中央銀行等への債権50%

    こちらについては、覚えるようなものではなく、必要になった時に再度確認するような形で構いません。ここでは、個別評価金銭債権にも様々な種類が存在することを理解して頂ければOKです。

    一括評価金銭債権

    一括評価金銭債権は、端的に言ってしまえば、個別評価金銭債権に当てはまらないもの全てが当てはまります。

    一括評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額

    一括評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額は、原則として下記の式で求めます。

    繰入限度額 ={(期末一括評価金銭債権の帳簿価額)-(実質的に債権と見られないものの金額)}×(貸倒実績率)

    実質的に債権と見られないもの」とは、債務者に対して有している金銭債権等のことを言います。例として買掛金や支払手形などが挙げられます。

    貸倒実績率」を求める式は少々複雑なので、国税庁のページを記載しておきます。求める必要のある方は、下記をご参照ください。

    一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定

    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5501.htm

    上記が原則なのですが、期末の資本金額または出資金額が1億円以下の法人については、特例として、貸倒実績率による算定ではなく、以下の法定繰入率により貸倒見込額を計算することが認められています。上記の方法に比べて求めるのが非常に楽なので、中小企業では下記の方法を使用している場合が多いです。

    繰入限度額 ={(期末一括評価金銭債権の帳簿価額)-(実質的に債権と見られないものの金額)}×(法定繰入率)

    「法定繰入率」は業種によって異なります。具体的には下記の表のようになっています。

    卸売業・小売業製造業金融業・保険業割賦販売小売業並びに包括信用購入あっせん業・個別信用購入あっせん業その他
    10 / 10008 / 10003 / 100013 / 10006 / 1000

    こちらの計算方法は、一度自分の会社がどれに当てはまるのかが分かれば、業態に変更が無いか、法定繰入率自体が変更されない限り変わらない、という利点があり、繰入限度額の計算を楽に行うことができます。

    貸倒引当金の仕訳方法

    先ほど、貸倒引当金は決算整理仕訳をするとお伝え致しました。ここでは、実際にどんな仕訳をすれば良いのかを具体的に見ていきましょう。

    貸倒引当金を計上する際に認められている方法としては、下記2種類が存在します。

    • 洗替(あらいがえ)法
    • 差額補充法

    それぞれ順番に見ていきましょう。

    洗替法

    洗替法は、総額主義と呼ばれる計上方法で、当期に計上する貸倒引当金の総額を繰り入れ、前期に計上した貸倒引当金の総額を戻し入れる、という方法です。

    例えば、前期末で30,000円の貸倒引当金を計上していたとしましょう。そして当期末では、新たに50,000円の貸倒引当金を計上することになったとします。その場合の仕訳は、下記のようになります。

    借方科目金額貸方科目金額
    貸倒引当金30,000円貸倒引当金戻入30,000円
    貸倒引当金繰入50,000円貸倒引当金50,000円

    1行目に記載した「貸倒引当金戻入」は、収益科目となります。逆に、2行目に記載した「貸倒引当金繰入」は費用科目となりますので、結果的に貸借対照表上の貸倒引当金の変動額は、貸倒引当金戻入と貸倒引当金繰入との差額と一致します。

    差額補充法

    差額補充法は、純額主義と呼ばれる計上方法で、予めこれまでの貸倒引当金の金額を把握しておいて、その差額を、貸倒引当金繰入(または貸倒引当金戻入)していくことになります。

    先程と同じ状況例を使用していきましょう。前期に計上した貸倒引当金が30,000円で、当期計上する貸倒引当金は50,000円でした。その差額20,000円を、新たに貸倒引当金に追加したいので、下記仕訳となります。

    借方科目金額貸方科目金額
    貸倒引当金繰入20,000円貸倒引当金20,000円

    どちらの方法がおすすめ?

    どちらの方法を使用しても、貸借対照表上の貸倒引当金は変わりません。しかし、損益計算書や、試算表上の表示が若干変わります。

    洗替法は総額主義である、とお伝えしましたが、これは前期と当期で比較する際に、総額表記されているので見やすい、というメリットがあります。差額補充法は、仕訳の数が1つ減るので、経理上は楽ですが、後から見た時に比較が難しい点に注意が必要です。

    筆者の意見としては、後から見た時にわかりやすい洗替法を使用することをおすすめします。

    まとめ

    今回は、貸倒引当金の概念や計算方法を中心に解説してきました。対象となる債権の種類や、計算方法など細かい決まりがありますので、ぜひ本記事で理解を深めて頂ければ幸いです。