勘定科目内訳明細書とは?項目別の記入例や科目例、税務上の注意点について解説!!

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    初めて法人の決算申告を担当したり、新設法人だったりすると、過去の参考資料がなく決算申告手続きは非常に大変です。

    中でも、勘定科目内訳明細書は、科目ごとの内訳で、作成するとなると膨大な量になるため、効率よく必要な内容の記載だけに絞りたいものです。

    この記事では、元会計事務所職員が、項目ごとの書き方、入れるべき科目例、税務的な目線からみた注意点について解説します。

    特に、相手先の計上取引との矛盾、同族役員取引の合理性は、税務調査で目を付けられやすいので、具体的にみていきます。

    勘定科目内訳明細書って何? 法人の決算税務申告における位置づけ

    勘定科目内訳明細書の決算税務申告による位置付けを確認しておきましょう。

    法人の決算税務申告では、原則、以下の書類を作成する必要があります。

    • 総勘定元帳
    • 証憑つづり
    • 決算報告書(貸借対照表・損益計算書・勘定科目内訳明細書・個別注記表など)
    • 法人税申告書
    • 消費税申告書
    • 法人事業概況書
    • 地方税申告書

    このうち、決算報告書に含まれる書類の一つが、勘定科目内訳明細書です。

    決算作業の流れの中では、決算仕訳などの会計の締め作業が終了し、総勘定元帳が完成したら、貸借対照表、損益計算書に表示された科目の明細として作成していくことになります。

    提出義務はあるの? 提出目的と提出期限は

    勘定科目内訳明細書は、税務署に対して提出義務があります。

    それは、法人税法74条1項に規定される税務申告書に添付する書類に該当するからです。具体的には、法人税法施行規則35条の三に規定されています。

    出典:電子政府の総合窓口法人税法施行規則

    提出期限は、税務申告書と同じで、事業年度終了の日の翌日から2月以内です。

    決算書だけでは分からない、取引先の情報や同族役員との取引情報などを知ることができるため、税務署が税務調査のための参考資料にしているとされます。

    また、銀行が融資の際に財務状況を評価する資料として利用することもあります。

    会計ソフトを使った作成の仕方、書類の準備法

    勘定科目内訳明細書は、税務署所定の様式を用いるため、会計ソフトの出力様式では対応できない場合が多いです。税務申告ソフトでは、対応しています。

    税務申告ソフトがない場合は、所定の様式、書類は、国税庁から取り寄せることになります。

    出典:国税庁改定後の勘定科目内訳明細書

    会計ソフトと税務申告ソフトとのデータ連携がうまくできていれば、チェックをすればよいだけですが、連携していない場合は、会計ソフトからのデータ移行が問題となります。

    会計ソフトでは勘定科目に紐づけられる補助科目機能などが備わっているので、それを使って集計するといいでしょう。

    平成30年度改正でどう変わったの?

    平成30年税制改正により、勘定科目内訳明細書が簡素化されました。主な改正点に、次のようなものがあります。

    • 一定の勘定科目の件数が100件を超える場合、上位100件の記載か、支店ごと・事業所ごとの合算か、を選択できる
    • 雑益・雑損失等の内訳書において、固定資産売却損益の記載を不要とする

    この改正は、2019年4月1日以降に終了する事業年度が対象となっています。

    勘定科目内訳明細書の項目ごとの書き方は?税務上の注意すべき点はどんな点か

    勘定科目内訳明細書の項目ごとの書き方を解説します。

    16枚の内訳明細書様式がありますが、それぞれの明細書様式ごとに、

    • どのような項目、科目を記載すればよいのか
    • 税務上、どのような点に注意すべきなのか

    について解説していきます。

    税務署は勘定科目内訳明細書を反面調査の材料にします。相手先が計上している取引と矛盾がないかどうかを確認することが重要になります。

    また、同族役員による課税逃れもチェックポイントになります。同族役員勘定に不合理な点はないか、ということに注意すべきです。

    このように、勘定科目内訳明細書は、決算書の内容をチェックすることを目的とした書類と言えるので、細かいミスを気にするというより、重要な点を押さえて作成することを心掛けるべきでしょう。

    預貯金等の内訳書

    取引金融機関別に、かつ預貯金別に記入します。

    名義人が法人名でないとき、名義人名を摘要欄に記載します。

    現金もこの内訳書に記載するのが一般的です。

    受取手形の内訳書

    一取引先からの受取手形の総額が、100万円以上の場合、その取引先別に記載します。その他は一括で構いません。

    一括で記載した手形に割引手形がある場合は、その割引手形のみ個別記載します。

    100万円以上が5口未満の場合、残高の多いものから5口程度記載します。

    売掛金の内訳書

    科目欄に、売掛金、未収入金の別を記載し、複数科目ある場合は、科目ごとの集計欄を設けます。

    相手先別の残高が50万円以上のものについては各別で記載し、その他は一括で構いません。

    100口を超える場合、多額なものから100口記載するか、支店又は事業所別合計を記載するか、を選ぶことができます。

    税務署の反面調査があっても問題がないよう、金額・名称・住所・内容については取引先に必ず確認をしましょう。

    仮払金、貸付金及び受取利息の内訳書

    相手先別の残高が50万円以上のものについては各別で記載し、その他は一括で構いません。

    100口を超える場合、多額なものから100口記載するか、支店又は事業所別合計を記載するか、を選ぶことができます。

    相手先が役員、株主又は関係会社のものについては、50万円未満であっても個別に記載することになっています。

    前払費用や立替金も、仮払金の内訳に記載するのが一般的です。

    税務上、仮払金は目を付けられやすいので注意すべきです。相手先、金額情報はもちろん、摘要に記載する取引内容についても正確を期すようにしましょう。

    さらに税務上注意しなければならないのは、役員、株主又は関係会社に対するものです。

    役員や株主に対する仮払、貸付は、その支払いが確定していれば、役員賞与に該当する可能性があります。もし、該当するとすると、源泉所得税の徴収漏れということになります。

    役員、株主に対する貸付金の場合、受取利息をきちんと計上しているかどうかも注意しなければなりません。

    役員等が一時的に法人から資金を引き出しただけでも、この内訳書に記載してあれば、みなし利息が認定され、その分の益金に対して法人税等が課されることになります。

    棚卸資産の内訳書

    品目が多くなりすぎるような場合は、一定のグルーピングを行って記載します。

    摘要欄に単価や評価方法などを記載するとよいでしょう。

    中小企業の場合、仕掛品の計上まで手が回らないことも多いですが、税務上、仕掛品の計上は指摘されやすい項目なので、合理的に計算してこの内訳書に記載すべきです。

    何らかの製作販売を行っている業種であれば、たとえば、CG製作なども決算時に未完成の成果物についての費用は仕掛品の計上対象になるので注意が必要です。

    有価証券の内訳書

    「区分」には、「売買目的有価証券」、「満期保有目的等有価証券」、「その他有価証券」別に「売買」、「満期」、又は「その他」を記載します。

    100口を超える場合、多額なものから100口記載してもよいことになっています。

    関係会社のものに該当するときは、摘要欄にその旨記載します。

    期中に売却等によって期末残高が0の場合でも記載が必要です。

    固定資産の内訳書

    期中売却等によって期末残高がないものであっても、期中において売却、購入または評価換えを行っていれば記載が必要です。

    100口を超える場合、多額なものから100口記載してもよいことになっています。

    支払手形の内訳書

    一取引先からの支払手形の総額が、100万円以上の場合、その取引先別に記載します。その他は一括で構いません。

    100口を超える場合、多額なものから100口記載するか、支店又は事業所別合計を記載するか、を選ぶことができます。

    買掛金の内訳書

    科目欄に、買掛金、未払金、未払費用の別を記載し、複数科目ある場合は、科目ごとの集計欄を設けます。

    相手先別の残高が50万円以上のものについては各別で記載し、その他は一括で構いません。

    100口を超える場合、多額なものから100口記載するか、支店又は事業所別合計を記載するか、を選ぶことができます。

    税務署の反面調査があっても問題がないよう、金額・名称・住所・内容については取引先に必ず確認をしましょう。

    特に、未払の取引を損金にするのですから、債務が確定した費用なのか、問題になり易いと言えます。相手先で売上に計上している取引と相違ないことに注意すべきです。

    未払役員賞与は、使用人兼務役員に対する使用人分賞与を除きます。役員賞与で未払のものについては、損金にできる要件が法人税法上厳密に定められています。しっかりと確認の上、計上し記載するようにしましょう。

    仮受金の内訳書(源泉所得税預り金の内訳書)

    相手先別の残高が50万円以上のものについては各別で記載し、その他は一括で構いません。

    相手先が役員、株主又は関係会社のものについては、50万円未満であっても個別に記載することになっています。

    税務上、仮受金は目を付けられやすいので注意すべきです。相手先、金額情報はもちろん、摘要に記載する取引内容についても正確を期すようにしましょう。

    役員、株主又は関係会社に対する仮受金は、利益操作や価格操作による不正が行われていないか、目を付けられやすいため、特に注意する必要があります。

    源泉所得税預り金は、所得の種類を簡記しなければなりません。源泉所得税が所得種類に対応して適正に徴収、納付されているかチェックされますので、しっかりと確認しましょう。

    借入金及び支払利子の内訳書

    相手先別の残高が50万円以上のものについては各別で記載し、その他は一括で構いません。

    相手先が役員、株主又は関係会社のものについては、50万円未満であっても個別に記載することになっています。

    期末に借入金残高がない場合でも、期中支払利子額が3万円以上のものについては記載が必要です。

    役員、株主に対する借入金は、単純に役員や株主が法人に貸出しているならば問題ないですが、その資金の原資は何なのか、売上の隠蔽ではないか、などと疑われる元となりますので、注意しましょう。

    土地の売上高等の内訳書

    棚卸資産として所有している土地を売却した場合、土地等を仲介した場合、取引金額の大きいものから各別に記載します。

    売上高等の事業所別内訳書

    期中に開設又は廃止した事業所については、摘要欄にその旨と年月日を記載します。

    合計欄は損益計算書の金額と一致するようにします。

    役員給与等の内訳書

    役職名、氏名・住所・代表者との関係、常勤・非常勤の別、役員給与の計・その内訳などを記載します。

    法人税法上、使用人職務分以外の役員給与は、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかの要件を満たすもの以外は損金に計上できないので、注意して記載しなければなりません。

    人件費の内訳では、代表者及びその家族分の記載欄がありますが、法人税法上、同族株主の配偶者は役職等に関わらず役員とみなされることになっているので、その点に注意して記載する必要があります。

    地代家賃等の内訳書(工業所有権等の使用料の内訳書)

    地代家賃の区分、借地の物件の用途・所在地、貸主の名称・所在地、支払対象期間、支払賃借料などを記載します。

    100口を超える場合、多額なものから100口記載してもよいことになっています。

    雑益、雑損失等の内訳書

    代表的な記載科目は、貸倒損失や債務免除益、前期損益修正損益などになります。

    科目別、かつ相手先別に10万円以上のものについて記載することになっています。

    税金の還付金については10万円未満であってもすべて各別に記載します。

    100口を超える場合、多額なものから100口記載してもよいことになっています。

    固定資産売却損益は記載しなくてもよいことになりました。

    還付金の仕訳』についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

    還付金の勘定科目は?法人税還付の仕訳方法で重要な処理のポイント

    まとめ

    いかがでしょうか。

    勘定科目内訳明細書は、決算書の内容を補足、チェックするための書類です。

    要点を押さえて要領よく作成すべきと言えます。

    しかし、税務署の調査の基礎資料ともなるべきものですので、目を付けられやすい項目はしっかりと確認すべきです。

    相手先の計上取引との矛盾、同族役員取引の合理性、には特に注意して記載しましょう。