会計で頻出の「のれん」とは?償却方法や会計処理方法について徹底解説

「のれん」と聞くと、居酒屋やお寿司屋さんなどの入り口にある、あの「のれん」を想像される方も多いと思います。筆者自身も簿記の勉強をしていたときに、急に「のれん」という言葉が出てきて、思考がストップした経験があります。

いろいろなところで、この「のれん」について立ち止まってしまう方は多いと思います。きっと、この記事を読んでくれているあなたも、同じような課題を抱えていらっしゃると思います。

今回の記事で、ぜひ「のれん」についての理解を深めてみてください。

「のれん」とは?

では、まずは早速「のれん」の定義について解説していきます。

「のれん」は、いわゆるM&A(企業買収)をした時に発生し、買収された企業の時価評価純資産と、実際の買収価額の差額のことを言います。つまり、買収された企業にとっての「ブランド的価値」と言い換えることもできます。

その他、「のれん」を超過収益力と定義付ける場合もあります。上記の意味とほぼ同じですが、それを会計的に言い直したような言葉になります。企業を買収する時に、買収元の企業は、買収先の企業の収益力の高さを評価して買うのですが、見積もられた収益力が高ければ高いほど、「のれん」の金額は上がっていくことになります。

もちろん、「のれん」には逆パターンもあります。つまり、買収価額が時価評価純資産よりも低いような場合です。この場合は、マイナスの「のれん」が発生している、と認識することができます。

「のれん」という名前の由来

ここまでの解説を見ると、一見「のれん」が、お店の入り口あるものと全く別の由来によって名付けられたものだと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実は、会計用語の「のれん」は、お店の入り口にある、あの「暖簾(のれん )」からきています。

元々、暖簾は、店内の暖かさを保つための垂れ布という意味合いで用いられてきました。しかし、お店の入り口にあることから、やがてそのお店の屋号を入れたり、紋を入れたりするようになり、そこから転じて商店の目印として使われるようになりました。この意味が、会計における「のれん」とも繋がり、商店(企業)のブランド力や信用力を表す意味として、会計業界でも使われるようになっていきました。

異なる会計基準でみる「のれん」の取り扱い

実は、「のれん」の会計処理については、日本の会計基準と、国際的な会計基準とで違いがあります。日本の会計基準では、「のれん」の取り扱いについて、下記のように定めています。

のれんは、資産に計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。
のれんは無形固定資産の区分に表示し、のれんの当期償却額は販売費及び一般管理費の区分に表示する。

改正企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」より引用

重要な点をピックアップすると、以下4点です。

  • 20年以内の期間で規則的に償却
  • 金額の重要性が低ければ、全額費用計上でOK
  • 「のれん」自体は無形固定資産に計上
  • のれん償却は販売費及び一般管理費に表示する

これに対し、国際的な会計基準(IFRS)では、「のれん」は償却しないことになっており、何らかの理由で、「のれん」の価値が著しく低下した際のみ、減損処理が認められています。

しかし近年、その動きに変化が見られ、今後数年内に、のれん償却を費用計上するように基準を変更するような動きがあります。2021年辺りを目処に結論が出されるようですが、国際的な会計基準が日本の会計基準に寄るような形となるため、日本の会計基準も、もしかすると参考になっているのかもしれません。

「のれん」の償却方法

では、ここからは実際に「のれん」の様々な処理方法について見ていきます。まずは一般的な「のれん償却」についてです。ここでは、日本の会計基準をもとにした償却を見ていきます。

「のれん」は無形固定資産のため、基本的にはソフトウェアの償却と同じように定額法で償却していくことになります。そのため、計算自体は非常に単純です。具体例で確認していきましょう。

具体例:のれん5,000円を10年で償却する場合

M&Aを行って、当期首で5,000円の「のれん」を計上したとします。この時、資産科目には5,000円の「のれん」が計上されています。償却期間は5年とし、これを決算時に償却する場合は、下記仕訳となります(減価償却は直接法で記載しています)。

借方科目 金額 貸方科目 金額
のれん償却(販売費及び一般管理費) 1,000 のれん 1,000

 

この仕訳を10年間行うこととなります。

「のれん」の減損

のれんの帳簿価額が減るもう1つの理由に「のれん」の減損があります。減損処理は、何らかの理由で帳簿価額よりも実際の価値が著しく低下した場合に、帳簿価額と価値を一致させるために行われます。

通常は起こり得ない仕訳のため、減損については、基本的に特別損失が使われるケースがほとんどですが、あまり決算書に大きな影響を与えないような場合は、営業外費用として処理されるケースもあります。こちらも具体例を見ていきましょう。

具体例:のれん5,000円の帳簿価額を減損処理で2,500円にする場合

M&Aを行って、当期首で5,000円の「のれん」を計上したとします。ですが、M&Aによる社名変更や組織変革などによって、一部商品の売上が大きく減少してしまい、企業価値が半分程度まで減少してしまいました。この仕訳を行う際には、下記のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
減損損失(特別損失 又は 営業外費用) 2,500 のれん 2,500

 

これにより、実際の「のれん」の評価に沿った金額を決算書にも計上できるようになります。

会計と税務の違いでみる「のれん」の取り扱い

実は、税務的には「のれん」という言葉は使わず、「資産調整勘定」という科目が使われます。これには、会計基準とは全く異なった制限があります。

資産調整勘定は、5年間の定額償却が適用されるため、会計上でどんな形で「のれん」を償却していたとしても、税務申告をする際には、5年定額償却として「のれん」を償却しなければなりません。そのため、会計上でも5年償却で合わせてしまうのが楽ですね。

「のれん」を見たときに警戒すべきこと

ここまでは「のれん」の実際の処理方法について見てきましたが、ここでは、決算書を評価する際、「のれん」を見つけた時に注意しておくべきポイントについて説明します。

多額の「のれん」の減損リスク

貸借対照表を見た時に、資産に占める「のれん」の割合が大きい場合は注意が必要です。その「のれん」の価値が本当にあるかどうかは、貸借対照表だけでは判別できない場合があるからです。

例えば、「のれん」に見合った売上規模を確保できているかどうかを損益計算書で確認したり、キャッシュフロー計算書を見て、きちんと営業キャッシュフローがプラスであるかどうかを確認するなど、複合的な視点で企業評価をする必要があります。帳簿上の「のれん」が絶対的な評価額だと思ってはいけません。

そもそも「のれん」は評価が難しい

「のれん」は、その性質上、資産に計上した後に初めて価値がわかるものです。そのため、M&Aにおける「のれん」の評価額が正当かどうか、という点にも疑問を持たなければなりません。

「今、100億売れている企業」と「将来的に安定して10億売れ続ける可能性が高い企業」を天秤にかけることができるでしょうか。これらを同一の「のれん」という評価軸によって評価するのは、非常に困難なことです。

それに、買収される側からしたら、会社自体が売り物になっているわけですから、少しでも高く買って欲しい心理が働きます。これに負けた買い手が高値で会社を購入した場合、そこには多額の「のれん」が計上される可能性があります。

このように「のれん」には、数字だけではなかなか判別できない裏側があったりするものですので、多くの面を見て、長い期間を見て、判断することが重要になってきます。

おわりに

今回は、会計における「のれん」について解説してきました。その言葉から、どんな時に使われるのかよくわからなかった方もいらっしゃると思いますが、本記事によって少しでも理解を深めて頂けたでしょうか。

評価などはとても難しいですが、実際の償却処理などは、知っていればとても簡単に行うことができます。決算書で「のれん」を見かけたら、本記事に書いてあった内容を思い出してもらえれば幸いです。

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