総資本回転率とは?計算方法や評価基準などについても解説

総資本回転率という言葉を聞いたことがあるでしょうか?財務分析をする際に登場する用語なのですが、本記事では、総資本回転率の考え方や、計算での求め方、そして評価のしかたや基準についても、徹底的に解説していきます。

総資本回転率の理解に不安がある方だけでなく、初めて総資本回転率を学ぶ方でも段階を追って理解できるような構成にしてありますので、ぜひご覧ください。

総資本回転率とは

では、まずは「総資本回転率」という言葉の定義について、見ていきましょう。

総資本回転率というのは、会社が持っている総資本(総資産)によって、どれくらいの売上高が生まれているのかを客観的に把握するための指標です。つまり、どのくらい総資本を有効に使えているかを表す指標ともいうことができます。

これを直接理解するのは少し難しいので、具体例を考えてみます。

100万円の総資本で500万円の売上高を生み出す会社Aと、500万円の総資本で1,000万円の売上高を生み出す会社Bがあったとします。この場合、売上高で買っているのは会社Bですが、会社Aは、会社Bの5分の1の総資本で、会社Bの2分の1の売上高を計上していることになり、会社Aの方が効率的に総資産を使用していることが判断できます。

総資産回転率と違いはあるの?

「総資本回転率」を調べたときに、「総資産回転率」という言葉もヒットしたかもしれません。紛らわしく思われた方もいらっしゃると思いますが、基本的には、どちらも同じことを指しています。

会計の世界では、定義の呼び方が複数ある用語がいくつかあり、総資本回転率と総資産回転率もその1つです。したがって、どちらを使用しても同じ意味となるのですが、業界全体としては、総資本回転率と呼ぶ方がやや優勢のため、本記事でも「総資本回転率」として解説していきます。

総資本回転率の計算方法

では、実際に総資本回転率を算出する際に、どのような計算方法を用いれば良いかを見ていきましょう。

まずは式を見ていきます。式は下記の通りとなります。

  • 総資本回転率 = 売上高 ÷ 総資本(総資産)

この式を用いて、先ほど例にあげた会社Aと会社Bの総資本回転率を算出してみましょう。

会社Aの総資本回転率

まずは、会社Aの総資本回転率を算出します。会社Aの情報を列挙します。

  • 総資本:100万円
  • 売上高:500万円

この2つの情報さえあれば、総資本回転率を算出することが可能です。式を当てはめると、下記のように総資本回転率を求めることができます。

総資本回転率 = 500万円 ÷ 100万円 = 5回

会社Bの総資本回転率

続いて、会社Bの総資本回転率を算出します。会社Bの情報を列挙します。

  • 総資本:500万円
  • 売上高:1,000万円

こちらについても、下記のように総資本回転率を求めることができます。

総資本回転率 = 1,000万円 ÷ 500万円 = 2回

上記の結果からわかること

冒頭の総資本回転率の説明の部分で、「会社Aの方が効率的に総資産を使用している」と書きましたが、それを直接的に判断するために求める指標が、総資本回転率となります。つまり、総資本回転率の値が高ければ高いほど、効率的に総資本を利用できている、ということになります。

総資本回転率の業種別平均値

ここまでは、基礎理解のための具体例をもとに説明してきましたが、本章では、実際の総資本回転率を参考に、業種ごとにどれくらい総資本回転率に開きがあるのかを見ていきましょう。

業種別の総資本回転率は、以下の通りです。

業 種 総資本回転率(回)
小売業 1.71
卸売業 1.70
建設業 1.32
サービス業 1.23
運輸業 1.18
製造業 1.03
飲食・宿泊業 1.03
情報通信業 1.00
不動産業 0.31

 

中小企業庁作成 『中小企業実態基本調査』 より

業種ごとに、総資本回転率の高い順から並べています。トップ2は小売業と卸売業です。この2業種は回転率が命で、少しでも短いスパンで高い売上を確保しないと成り立たない業種、ともいうことができます。思うように売上が立たず、不良在庫を多く抱えるようなことになれば、総資本回転率も減少し、経営成績悪化に直結するでしょう。

逆に総資産回転率が極端に低いのは、不動産業となっています。不動産業は、主に賃貸による不動産貸付業がメインです。長期間に渡って継続的に発生する売上のため、1年間というスパンで計算すると、どうしても総資産に対して少ない売上高が計上されるため、このような値となっています。

総資本回転率を用いた財務分析

業種によっても総資本回転率に大きな開きがあることはご理解頂けたと思いますが、これはあくまでも業種全体の平均であって、企業ごとに様々な事情があり、結果として、総資本回転率もまちまちです。

したがって、ここでは、総資本回転率の目安になる値を理解し、それをどのように分析に活かすのかを学んでいきましょう。

総資本回転率の目安

総資本回転率の目安について、様々な考え方がありますが、一般的には、総資本回転率が「1.0」を上回っているかどうかが1つの指標となります。

先ほども申し上げたように、総資本回転率は、高ければ高いほど効率的な経営ができている証となります。この値が前年と比べて下がってしまったりした場合は、何か原因があります。その原因は、決して1つではありません。具体的にどんな原因があるのか、そして、どのような対策を講じるのが有効なのかを見ていきます。

総資本回転率が低い場合の対策方法

総資本回転率が思うように伸びなかったり、下がってしまった場合、基本的には下記2点のどちらか(もしくは両方)が原因と考えられます。

  • 売上高の低下
  • 総資産の中に、売上に貢献していないものがある

それぞれ順番に見ていきましょう。

売上高の低下

売上高が低下した場合は、総資本回転率を求める式の分子が減少するため、同じ総資産の値だったとしても、総資本回転率は減少します。

対策としては、小売や卸売であれば、商品トレンドや市場変化の調査をもとに、新たな商品を仕入れたりして、売上を回復させるものが一般的です。建設業であれば、工程の見直しと支払いサイトの短期化などが挙げられるでしょう。

あくまでも上記の原因は一例で、他にも原因は沢山考えられますので、人的要因や環境要因など、あらゆる観点から原因追及をすることが肝要となります。

総資産の中に、売上に貢献していないものがある

売上に貢献する役割を果たしていない総資産も、総資本回転率を下げる要因となります。

例えば、新しい機械装置を高額で導入したものの、需要の変化からあまり稼働していなかったりする場合がこれにあたります。この場合は、早期に該当資産を売却してしまうのも1つの手です。

「せっかく買ったんだから…」と、あまり使わないまま資産を保持しておくと、経年劣化により、高く売れるはずのものも売れなくなってしまい、結果的に損をする可能性もあります。これらを教えてくれるのも、総資本回転率の1つの役割となります。

おわりに

今回は、総資本回転率について見てきました。総資本回転率は、単年で業種平均と比較するよりも、自社の複数年分の業績を比較することの方が役に立つ場合が多いです。それは、その計算式上、自社の事情を色濃く反映する指標であるからです。

いわゆる会社の健康診断結果的な側面も持ち合わせているため、決算を組んだら、利益が赤字か黒字かに囚われるのではなく、総資本回転率をはじめとした様々な財務分析方法を用いて、より良い企業経営の一助にしてみてください。

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