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【2022年改正】契約書保管の基礎とは?期間や保管方法に法律上の決まりはある?

更新日:2024.02.13

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契約書の保管の期間は法律で定められていて、会社法関連の契約書なら10年、経理関連の契約書なら7年など長期間の保管が必要です。

契約書の保管方法は、紙で交わした契約書は基本的に紙で保管しておく必要があります。
一旦紙で交わした契約書をスキャンして電子化して保管していたとしても、民事訴訟上はコピーとしてしか認められません。ただし、はじめから電子上で交わす「電子契約書」であればデータの保存が原本として認められます。

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この記事では、契約書の保管について2022年電子帳簿保存法の改正にも触れて解説します。筆者は経理社員として、契約書の保管業務にも関わっていました。この記事が契約書の保管業務の効率化につながれば幸いです。

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契約書の保管期間と法律

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契約書の保管期間は会社法関連なら10年、経理関連なら7年、人事・総務関連なら2年~5年など、契約書が関係する法律によって保管の義務期間が異なります。
契約書の保管期間と法律について解説します。

契約書は法律で決められた保管期間の義務がある

契約の効力が続いている間はもちろん、契約書を捨ててはいけませんが、契約の期限が過ぎた後にも保存期間が法律によって決められています。

法律で保存期間の義務がある主な文書・契約書を一覧にしました。

保存期間担当部署契約書・文書法律
2年人事・総務健康保険・厚生年金保険・雇用保険に関する書類健康保険法施行規則34他
3年人事・総務労災保険に関する書類労働者災害補償保険法施行規則51
3年人事・総務労働保険の徴収・納付等の関係書類労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則70
3年人事・総務派遣元管理台帳労働者派遣事業法37
4年人事・総務雇用保険の被保険者に関する書類雇用保険法施行規則143
5年経理会計監査報告会社法442
5年経理有価証券届出書等の写し金融商品取引法25
7年経理領収書などの証憑類法人税法施行規則59、67
7年経理請求書、契約書、見積書など
7年経理電子取引の取引情報電子帳簿保存法施行規則8
7年経理源泉徴収簿(賃金台帳)国税法70、労働基準法108他
10年経理帳簿(仕訳帳、総勘定元帳他)会社法432
10年経理計算書類および附属明細書(B/S、P/L他)会社法435

 
上記の一覧表にない会社の定款や株主名簿、社内規則などは、法律上の保存期間の決まりはありませんが、永久保管が基本です。

会社法では契約期間が終わった契約書の保管を10年としています。
契約に関するトラブルが起こった時に、契約書という証拠があれば解決に役立ちます。
一般債権は10年経つと時効になるという点からも、10年経ってからトラブルになることはほぼないと考えられます。

したがって、契約期間が終了して10年以降の契約書の保存義務はありません。

税務上の契約書・文書の保管期間は7年

法人税法では、契約書の保管期間は7年と決まっています。
ここで言う契約書・文書には先に示した表の通り、取引先との契約書の他、領収書などの証憑類、帳簿などが含まれます。

注意点は、発行されてから7年ではなく法人税の申告期限から7年ということ。

【2020年3月31日決算の場合】

  • 法人税の申告期限:2020年5月31日
  • 領収書などの保管期間:2027年5月31日

このように、2019年4月1日~2020年3月31日までの領収書は企保的に2027年5月31日まで保管しておく必要があります。
税法で定められた契約書や文書、証憑類の保管期限が7年なので、税務調査でも7年以上さかのぼって調査されることはありません。

ただし、2019年4月1日以降の事業年度において、青色申告法人が赤字決算で申告して赤字を繰り越す場合には契約書などの保管期間は10年です。
赤字を繰り越すことができるのが9年間なので、その期間に合わせて契約書などの保管期間も長くなっています。

契約書の保管の方法と法律


契約書の保管期間に関しての法律を解説してきました。ここからは、契約書の保管方法についてみていきましょう。

契約書の保管の方法

テレワークの推進や働き方改革でペーパーレス化を推し進める動きがあるものの、契約書は書面で交わすことが多いのが現状です。

先に述べた通り、契約書は10年などの長期間にわたって保管が必要なので、大きなスペースが必要で管理に苦労している会社も多いのではないでしょうか。

契約書類は見たい時にすぐ取り出しができる状態が理想。Excelなどで契約書の台帳を作って管理し、保管期間が過ぎたら廃棄するしくみが必要です。保管期間が過ぎても何となく捨てられずに契約書を取っておいている、という会社も多いですが必要のない契約書の保管には次のようなリスクがあります。

  • 契約書の情報が漏洩
  • 保管スペースが必要
  • 契約書の管理をする人件費などのコスト

法律で定められた期間が過ぎた後も契約書を保存し続けると、契約書がどんどん増えていき管理しきれなくなって紛失に気が付かず情報漏洩してしまう、というようなリスクもあります。

契約書を含む機密文書の管理を専門に行っている会社もあるので、コストと照らし合わせて外部委託も検討してみてください。

契約書をスキャンして保存しても法律上は認められる?

紙の契約書をスキャンしてPDFなどにして保存しておくことは認められるのでしょうか。
実は、紙の契約書をスキャンしたデータは、民事訴訟上は原本としては認められずコピー扱いとなります。

したがって、一旦紙で契約書を交わしたのであれば、原本を保管しておく必要があります。
万が一、契約書の原本を紛失してしまいコピーしか手元にない場合には、効力がないわけではありませんが、偽造ではないという証明が難しくなってしまいます。
このように、ペーパーレス化を進めたくても、紙の契約書がある限りは保管が必要になってしまいます。

以下で述べる「電子契約書」にすれば、電子上での契約書が認められます。

電子帳簿保存システム選び方ガイド 電子帳簿保存システム選び方ガイド

電子契約書なら保管スペースは不要!方法や注意点は?


電子契約書とは、その名の通り電子上で交わされる契約で書面の契約書と同等の効力があります。
電子契約書に関する法律と、導入の準備方法などについてまとめました。

電子契約書の方法と準備

電子契約書として扱われるためには、電子帳簿保存法で定められた以下の条件を満たす必要があります。

【電子契約書として認められるための条件】

  • 真実性の確保:タイムスタンプもしくは社内で事務処理規程があること
  • 関係書類の備付:マニュアルが整備されていること
  • 検索性の確保:データの検索ができること
  • 見読性の確保:内容が画面や紙で確認できること

このように電子契約を結ぶための条件は複雑なので、電子契約システムを導入する会社が多いです。

電子契約であれば、保管場所も不要ですし紛失のリスクもありません。

また、はじめから電子データで作られた電子契約書の保存には、税務署への届け出は不要です。

電子契約書の注意点やデメリットは?

電子契約書は保管コストがかからないなどのメリットがありますが、次のようなデメリットもあるので注意です。

【電子契約書の注意点・デメリット】

  • 万全のセキュリティ対策が必要
  • 社内規程の整備など導入までにはハードルもある
  • 契約相手の理解を得る必要がある
  • 書面交付が義務の契約書があり完全に電子化はできない
  • 電子保存の条件を満たす準備が必要

電子契約書を交わすには、契約書の情報が漏れないためのセキュリティ対策が必要です。

電子契約書を導入するには社内にもハードルがあるといえます。契約は相手が合意して初めて成り立つものですから、契約先にも電子契約書で契約してもらわなければなりません。

社内の書類などであれば、メール認証などの簡易的な電子サインでも構いませんが、社外の取引先との契約など実印で交わす契約書では「電子署名」が必要です。電子署名とは、電子署名法で定められた実印と同じ法的拘束力のある電子上の署名です。契約先にも同じ電子契約書のサービスを利用してもらうには費用が掛かる場合もあるので、理解を得る必要があるでしょう。

また、契約書の中には、消費者保護などの観点から紙での交付が法律上の義務になっているものもあります。

【書面での交付が義務の契約書の例】

  • 定期借地・定期建物賃貸借契約
  • 投資信託契約の約款(投資信託及び投資法人に関する法律)
  • 労働者派遣個別契約

さらに、電子データの保存には先述の通り、複数の要件を満たす必要があります。これらを一つずつ自社のみで対応するのは難しいため、電子データ保存用のシステムを利用するのも有効です。

代表的な文書管理システム「TOKIUM電子帳簿保存」では、あらゆる国税関係書類(見積書・請求書・納品書・契約書・発注書等)をオンラインでまとめて管理することが可能です。

書類の電子管理ができることに加え、原本の受領とスキャン・データ入力・保管まで代行されます。そのため、電子帳簿保存法に対応する追加の手間をなくせるだけでなく、紙と電子データの二重管理からも解放され、完全なペーパーレス化を実現できます。

TOKIUM電子帳簿保存は、電子帳簿保存法に対応したシステムの証であるJIIMA認証を受けているサービスです。月額費用は、基本利用料(1万円〜)+書類の保存件数に基づく従量制で決まります。また、利用できるアカウント数は無制限なので、従業員が何名で利用しても追加料金が一切かかりません。したがって、企業規模に関わらず、最小限のコストで電子帳簿保存法への対応が可能です。

「法対応と業務効率化を同時に実現したい」という方は、下記リンクから詳細資料をご覧ください。

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請求書や領収書などの経理証憑も電子化できる

電子帳簿保存法では、電子上で作られた契約書を保存する方法の他に、請求書や領収書のような紙をスキャンして電子データ化する方法が認められています。

1998年施行されて以降だんだんと規制が緩和され、例えば2016年にはスマートフォンで撮影した領収書も電子データとして認められるようになりました。
加えて、2022年(令和4年度)の電子帳簿保存法改正ではさらにペーパーレス化が進められる内容になっています。

【電子帳簿保存法2022年改正のポイント】

  • スキャンして保管する際の、タイムスタンプ要件の緩和
  • 電子データ保存における税務署長の承認が不要に
  • 内部統制のための適正事務処理要件の廃止

キャッシュレス決済については電子データのみの保存が認められるようになったのが大きな変更点です。2022年に改正された最新の電子帳簿保存法の内容は、以下の記事でポイントの詳細を解説しています。

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電子帳簿保存法の改正でペーパーレス化が推進されるようになり、経理を中心としたバックオフィスに関する業務のペーパーレス化を支援するサービスが普及し始めました。これを機に、ペーパーレス化に向けてのサービス導入も検討してみてはいかがでしょうか。ここでは、例として特に煩雑と言われている請求書受領に関するサービスを一つご紹介します。

代表的な請求書受領サービス 「TOKIUMインボイス」は、紙やメール・ウェブシステム経由で届くあらゆる形式の請求書を受領代行し、請求書の確認・処理を電子化するサービスです。

請求書の受け取り・スキャン・データ化・原本管理まで全て代行され、システム上で一元管理できるため、ペーパーレス化と同時に請求書支払いにかける時間を約1/5にまで削減することができます。さらに、受け取った請求書はインボイス制度・電子帳簿保存法に対応する形で保管されるため、法対応に関する追加の手間をなくせる点も魅力です。

TOKIUMインボイストップ3
出典:TOKIUMインボイス公式

TOKIUMインボイスは、電子帳簿保存法に対応したシステムの証であるJIIMA認証を受けるだけでなく、認証機関である日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実際に導入し、利用しているサービスです。

月額費用は、基本利用料(1万円〜)+請求書の件数に基づく従量制で決まります。また、利用できるアカウント数が無制限のため、利用者数が多い場合も追加料金が一切かかりません。したがって、企業規模に関わらず、最小限のコストで請求書業務を効率化できます。

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契約書の保管|まとめ

契約書の保管は法律上で期間が定められています。
会社法関連は10年、経理関連は7年など、契約書は長い期間にわたって保管が必要になります。
契約書の保管・管理にはコストがかかるので外注化や電子契約書を導入することで、業務の効率化につながります。

【関連する無料ガイドブック】
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