返金の勘定科目はどう選ぶ?消費税は?仮受金の処理から値引・割戻まで徹底解説!

経理担当のなかには返金の処理で困った経験のある方もいるのではないでしょうか。返品やサービスの解約など予定していた返金であれば問題ありませんが、なかには心当たりのない場合もあり処理に戸惑うこともあります。

仮受金のように一時的に預かって返金したり、いまある債権に充当することもあれば、値引や割戻を計上する場合もあります。場合によっては雑収入で処理することもあるでしょう。

また、返金振込をする場合でも、仮受金の返金なのか、取引のキャンセルによるものかで処理する勘定科目はちがいます。売上のキャンセルはマイナス売上を計上しますし、売上値引や売上割戻であればマイナス売上か売上値引・売上割引を計上します。

値引や割戻では消費税の処理もしなければなりません。

この記事ではで経理を担当する筆者が返金の処理方法について詳しく解説します。

返金が発生するのはどんなとき?

経理を担当していると返金が発生することがあります。返金を受ける場合もあれば、返金する場合もあるでしょう。どのような理由で返金処理が発生するのか確認しておきましょう。

① 取引がキャンセル(解約)になった場合

取引がキャンセルになったり、提供中のサービスが解約になると返金が発生します。

② 物品が返品された場合

納品した物品が返品された場合にも返金が発生します。仮に機能が不良で損害がおきた場合の損害補償は返金としては処理しませんので混同しないようにしましょう。

③ 処理間違いによる場合

入金担当をしていると債権にない金額が振込まれることがあります。その場合は返金が発生することがあります。また、支払処理で振込先口座を間違えた場合も返金してもらわねばなりません。

①~③のようなことは会社間の取引では往々に起こることです。処理方法もパターン化していますので覚えておくとよいと思います。

返金を受けた時の処理

返金を受けた時の処理をパターン別にみていきましょう。

(1) 取引がキャンセルした場合の処理と仕訳

取引をキャンセルしたり、返品した物品の代金を支払っている場合は費用が計上されていますので仕入計上したときと同じ勘定科目で入金処理します。

◆仕入の勘定科目で支払っていた場合の入金処理の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 11,000 仕入 11,000

※消費税は考慮していません。

(2) 仕入値引きが発生した場合の処理と仕訳

仕入値引が発生した場合は仕入値引として入金処理します。会社によっては仕入の勘定科目で処理することもあります。

◆仕入の勘定科目で支払っていた場合の入金処理の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 11,000 仕入値引 11,000

※消費税は考慮していません。

(3) 誤った金額が振込まれた場合の処理と仕訳

予定している債権とちがう金額が入金した場合は客先に入金明細を確認して処理します。

例えば10,000円の債権しかないのに20,000円入金したような場合です。客先の回答により処理方法がことなりますのでそれぞれのパターンをみていきましょう。

当月請求する債権に充当する場合は次のようになります。この場合の請求債権管理表は当月請求当月入金として表示されます。

当月請求する予定の債権に充当する場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 20,000 売掛金(前月請求) 10,000
売掛金(当月請求) 10,000

 

過入金分を仮受金で処理する場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 20,000 売掛金(前月請求) 10,000
仮受金 10,000

※通常月は仮受金で処理し決算月であれば預り金で処理する会社もありますが、基本は内容不明なものは仮受金で処理している会社が多いのではないでしょうか。

仮受金で処理した後、新たに発生した売掛金に充当する場合と返金する場合の仕訳は次のようになります。

過入金分を仮受金で処理した後に売掛金に充当する場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
仮受金 10,000 売掛金 10,000

 

過入金分を仮受金で処理した後に取引先に返金する場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
仮受金 10,000 預金 10,000

この場合の振込手数料は大口の客先の場合など引かないこともあります。

(4) 売掛金のない会社から入金があった場合の処理と仕訳

売掛金のない会社から入金があった場合は内容確認することが重要です。現状で債権がないだけの相手ならよいのですが、まれにまったく取引のない会社から誤った入金があることがあります。

もともと取引がある相手であれば新たに売掛金が発生するまで仮受金で処理し充当すればよいだけです。債権が発生する予定がないのであれば仮受金で受けた後に返金します。どちらも(3)で説明したパターンです。

まったく取引のない会社からの入金は返金を前提に対応します。しかし、取引がないので相手の連絡先もわからず確認するのも大変です。

まずは自社の口座を開設している銀行に連絡して事情を説明して相手と連絡をとります。当然、銀行は相手の電話番号などおしえてはくれませんので、銀行から振込先に連絡してもらいます。経験上ですが、銀行に自社の電話番号を伝えて連絡をもらいたいと言っておけば間違えて振込みした側から連絡がきます。

その後、相手先の指定口座に返金手続きをとります。この場合は振込手数料を引いて返金します。

仮受金で受けて相手側に返金する場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
仮受金 10,000 預金 9,400
手数料 600

 

返金先は口頭ではなく必ず文書で指定してもらいましょう。振込先の確認の意味もありますし、返金額が大きければ国税や税務署が入った時に目に留まり、出金した経緯と相手の連絡先などを聞かれることがあります。

なぜ取引のない相手の口座に振込みできるのかと思われるかもしれませんが、ネットバンキングのなかには口座番号をいれると同じ銀行内の口座は名義を入力しなくても口座名義が自動で表示されるものがあり、チェックを見逃すと振込まれてしまうことがあるのです。

(5) 費用が返金された場合の処理と仕訳

費用が返金された場合の処理と仕訳を確認しましょう。返金が当期費用か過年度分か、翌期以降の費用なのかにより使用する勘定科目がことなりますので内容を確認して処理しましょう。

例1:会費の返金

年会費などは退会すると月割りで返金されるものがあります。同じ会計期間内なら出金時に費用計上した会費の勘定科目に戻します。

当期に出金した勘定科目に戻す場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 10,000 会費 10,000

 

会計年度をまたいでいて出金した年度と返金された年度がことなる場合は、出金した勘定科目に戻すと当期の費用が正しく計上されません。過年度の費用は雑収入などの営業外売上として処理します。

返金された過年度の費用を雑収入で受ける場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 10,000 雑収入 10,000

 

例2:購読料の返金

複数年分の費用を一括支払いしている場合は、翌期以降の費用は前払金として処理されているはずですので前払金を解消します。

複数年一括払いの購読料など当期と翌期以降の費用が返金された場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 15,000 購読料(当期分) 5,000
前払金(翌期購読料) 10,000

 

例3:車両経費の返金

車両を処分すると自動車税・自動車重量税・自賠責保険・自動車保険が返金されてきます。この場合は費用がいまどのように仕訳されているかによりますが、費用処理していれば処理時の勘定科目に戻します。

車両を処分した場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 50,000 租税公課(自動車税等) 10,000
保険料(自賠責・自動車保険) 40,000

 

コーポレートカードなどのクレジットカードで返金が発生した場合は、同じ締切期間内ならマイナス処理がされ返金を反映した額が引落額となっていますので特に処理は不要です。仕訳が発生しないからです。

締切期間が月をまたぐ場合は、引落時に仮払金で処理し、返金がマイナス処理された月に仮払金を消します。返金が確定している取引分を費用計上しますと、金額によっては月次損益に影響しますので注意しましょう。

返金をする時の処理

取引がキャンセルされた場合や品物が返品された場合の返金は、そのタイミングにより処理がことなります。

すでに取引代金が入金しているのであれば返金すると同時に売上も取り消します。売上を計上しただけで請求前であれば売上の取り消し処理ですみますし、請求書を発行しており債権の回収前であれば、売上と売掛金をマイナスして取り消しすることになります。

実務ではタイミングにより処理がことなるのは管理が煩雑なため、継続的な取引先であればマイナス売上を計上して、取引先にもマイナスの請求書を発行して相殺することが多いのではないでしょうか。

純額主義と総額主義

値引や割戻の処理をする場合に使用する勘定科目は会社によりことなります。「純額主義」と「総額主義」のどちらを選択しているかによるためです。

純額主義値引や割戻を売上や仕入と同じ勘定科目で直接控除してマイナスする方法です。売上や仕入の赤伝(あかでん)を切っている場合が該当します。

総額主義値引や割戻を売上や仕入と別の勘定科目で処理する方法です。値引では「売上値引」「仕入値引」、割戻では「売上割戻」「仕入割戻」の勘定科目を使います。

迷ったら自社の勘定科目一覧表を確認してみるとわかると思いますが、会計ソフトを使用している場合は総額主義の勘定科目が初期設定にないことがあります。その場合は勘定科目を追加登録しなければ使用できませんので注意しましょう。

返金の消費税処理は?

返金時の消費税の処理は実務でも迷うポイントです。確認しておきましょう。

(1) 仮受金

仮受金は入金した時点でその内容が不明なお金です。そのため課税対象かもわからないので課税処理をしません。内容が確認でき仮受金から振替する時点で課税処理も同時に行います。

仮に仮受金11,000円が10%の課税売上であることがわかれば次のような処理をします。

入金時に仮受金で処理した場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 11,000 仮受金 11,000

 

仮受金から10%の課税売上に振替する場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
仮受金 11,000 売上 10,000
仮受消費税 1,000

 

(2) 売上や仕入

売上や仕入はもとの取引と同じ消費税率で処理します。

例えば取引のキャンセルで11,000円の返金が発生するのであれば次のような仕訳となります。

取引キャンセルの売上側

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売上 11,000 売掛金 10,000
仮受消費税 1,000

 

取引キャンセルの仕入側

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
買掛金 11,000 仕入 10,000
仮払消費税 1,000

 

値引や割戻も同様の仕訳をします。使用する勘定科目は会社の会計方針によってことなりますので自社の設定を確認しましょう。

割戻とは?処理と仕訳方法

取引のキャンセルや値引以外に、仕入や売上を調整するものに「割戻」があります。割戻は取引量に応じて代金の一部が返金される仕組みのことです。商品を購入している側の仕入割戻と、メーカーなどの販売側の売上割戻があります。それぞれの処理を確認していきましょう。

(1) 仕入割戻の処理と仕訳

仕入割戻は一定期間に大量の取引をした場合に実施されるものでメーカーと直接取引している場合などに「リベート」として返金されてくるものです。

返金方法は現金振込や買掛金との相殺など様々です。相手側との基本契約書の条項に含まれていることが多く対応は「契約による」といったところです。契約になければ割戻の通知を受けた日を基準に考えます。

仕入割戻は仕入高から直接控除する純額主義と、仕入高とは別の「仕入割戻」勘定を使い処理する総額主義がありますので、それぞれの仕訳を確認しましょう。

純額主義でリベートとして毎月の支払から相殺する場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
買掛金 100 仕入 100

 

総額主義でリベートとして毎月の支払から相殺する場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
買掛金 100 仕入割戻 100

 

仕入割戻は消費税の課税対象で仕入税額控除の対象となりますので注意しましょう。

リベートや奨励金は一定期間経過後に計算される場合もあり、入金が翌会計年度となることもあります。その場合は決算時に未収入金を計上します。

総額主義でリベートが期末に未収の場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
未収入金 100 仕入割戻 100

 

未収入金として計上した仕入割戻が現金で振込まれた場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預金 100 未収入金 100

 

販売奨励金として振込まれる場合も期末に未収入金を計上します。会社によってはリベートや販売奨励金を雑収入として処理している場合もあります。

(2) 売上割戻の処理と仕訳

売上割戻は販売側の割戻です。リベートなどの名目で売上の一部を割戻します。リベートやキックバックといった言葉のほうが耳にする機会があり馴染みがあるかもしれませんね。

仕組みは仕入割戻の逆ですので仕入割引の相手方として考えるとわかりやすいと思います。

純額主義でリベートとして毎月の売掛金から相殺される場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売上 100 売掛金 100

 

総額主義でリベートとして毎月の売掛金から相殺される場合の仕訳例

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売上割戻 100 売掛金 100

 

売上割戻を相殺や現金で実施していれば問題ないのですが、物品やサービスとして提供していると交際費となる場合がありますので注意しましょう。

まとめ

返金の勘定科目はその返金内容を確認して判断しなければなりません。しかし、ある程度はパターンが決まっていますので覚えてしまえば処理は難しいものではありません。

値引や割戻は会社によって処理する勘定科目がちがいますので、この機会に自社の勘定科目を確認しておくとよいのではないでしょうか。

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