仕訳FAQ

仕入の仕訳方法とは?勘定科目や記帳方法の基本を解説!

更新日:2023.05.23

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経理担当であれば仕入勘定を使用したことがあると思います。仕入基準日は会社で定めるため取引先との計上のタイミングのちがいにより売買の残高が一致しないこともあります。
記帳方法も複数あり自社がどの方法を採用しているかにより処理する勘定や仕訳も異なります。

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また、仕入に係る諸経費は仕入額として仕訳することが一般的ですが、仕入勘定とは別の科目を設定している場合もありますし、会社間の基本契約書により費用の負担割合が定められていることもあります。
この記事では長年経理を担当している筆者が仕入の基本仕訳について解説します。

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仕入とは

仕入とは勘定科目の5大要素「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の内の費用に属する科目で、事業活動で販売する商品や製品製造の過程で使用する材料、建設工事の部材などが該当します。
一定規模の取引で商品や材料・部材などを仕入れる場合は掛買いが大半で、支払いは手形や電子手形でされることが多いと思います。

仕入の計上基準

仕入の仕訳は計上基準日で行います。一度定めた基準は継続性の原則により簡単に変更することはありません。
主な基準は①~④となります。
出荷基準:仕入先が出荷した日を基準に仕入計上する
引渡基準:自社に入荷した日を基準に仕入計上する
検収基準:入荷した商品を検品して検収した日を基準に仕入計上する
回収基準:決済の完了した日を基準に仕入計上する
他にも建設業の完成基準や工事進行基準などがあります。計上基準は会社ごとに決められますが、業種や業界の慣例などによりある程度は基準が統一されています。
仕入の仕訳をきるタイミングは計上基準によりますので、自社がどの基準なのかを確認して処理しましょう。

仕入の記帳方法

商品の売買の記帳方法にもいくつかの種類があります。代表的な4つの記帳方法を確認しておきましょう。

代表的な記帳方法

  • 分記法
  • 総記法
  • 三分法
  • 五分法

分記法:商品勘定のみを使用して売買を記帳します。仕入時は商品勘定を使い処理します。売上時に商品の原価と利益をわけて記帳する方法です。
総記法:商品勘定のみを使用して売買を記帳します。決算整理仕訳で当期の商品販売益の仕訳をきって期末商品残高を確定します。
三分法:仕入・売上・繰越商品の3つの勘定を使用して商品売買を記帳します。期末商品残高を繰越商品勘定に振り替えて翌期に繰越し期首に再振替仕訳します。
五分法:仕入、売上、仕入値引・戻し、売上値引・戻り、繰越商品の5つの勘定を使用して商品売買を記帳します。期末商品残高を繰越商品勘定に振り替えるだけでなく、仕入値引・戻しを仕入勘定に振り替えて当期の仕入高を計算します。同様に、売上高は売上値引・戻りを売上勘定に振り替えます。
一般的には仕入勘定を使う三分法を用いている会社が多いと思います。五分法は戻しや値引きなどが頻繁に発生する会社に適しています。

仕入の仕訳例

仕入は決済方法で相手の勘定がかわります。現金・預金・買掛金など取引条件による仕訳を確認してみましょう。

(1) 現金で支払った場合

仕入先で商品を購入してその場で現金で支払い持ち帰った時は現金精算として仕訳します。仕入先が発行した領収書を添付して小口現金で精算するイメージです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入10,000現金10,000

(2) 振込した場合

仕入先から商品の請求書を発行してもらい小口現金を使い銀行に振込むような場合です。会社の締日など関係なく随時支払うとイメージです。数日であれば買掛金勘定を計上せず支払処理をすることが多いのではないでしょうか。手数料を引いて振込みするのが一般的です。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入10,000預金9,400
  振込手数料600

(3) 掛買いした場合

会社ごとに定められている締日ごとに一定期間の取引額を集計して支払います。定時払いといわれる支払方法です。会社間の信用取引である掛買いのため、計上日から支払日の間は買掛金勘定で処理します。
仕入計上する仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入200,000買掛金(定時払い)200,000

 
手形で支払った場合の支払日の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
買掛金(定時払い)200,000支払手形200,000

(3) クレジットカード決済の場合

コーポレートカードなどの法人用クレジットカードを利用した場合は、使用日から引落日までの期間は買掛金として処理します。クレジットカードで商品を仕入れることは多くないと思いますが、仕訳モレが起こりやすいので注意しましょう。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入10,000買掛金(カード)10,000

 
ここまでは商品が納入されている場合の仕入の仕訳をご説明してきましたが、輸入業界など一部の事業は仕訳するタイミングや使用する勘定科目が特殊です。
船便で商品を運送しているため手元に届くまでに時間がかかるので、船荷証券(貨物代表証券)を受け取った時点で「未着品」勘定で処理します。その後、商品の到着と同時に未着品から仕入勘定に振替えますので覚えておきましょう。

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仕入と原価

仕入した商品や材料・部材は原価と認識しますが、原価の考え方が業種により少々ことなりますので確認しておきましょう。

(1) 売上原価

商品を仕入れて販売する小売業などは仕入原価=売上原価です。仕入額に人件費や経費を上乗せして商品を販売します。そのため、売上原価は販売した商品に対して発生する原価です。在庫にかかった仕入原価は売上原価には含まれませんので注意が必要です。
期末に在庫を繰越商品勘定に振替える決算整理仕訳は売れた商品に対応する原価を算出するために行うのです。

(2) 製造原価

特定の製品を作成するための材料として仕入れた場合は製造原価とします。製造原価は製品を作るために必要な材料や諸々の費用や労務費をさし、製造にかかったものを集計して算出します。また、期末に作成途中の製品を仕掛品といい、作成の進捗度に応じて製造原価を按分計算するルールです。
会計期間分は期首の材料・仕掛品の棚卸高を加えて期末の仕掛品や未使用の材料費を差し引くことで算出できます。
自社で製造して販売まで行う場合は売上原価と認識する場合もあるので注意しましょう。

(3) 工事原価

特定の建設工事を完成させるために仕入れた部材は工事原価とします。工事原価は材料や諸々の費用や労務費の他に外注費も含みます。特定の建設工事の現場で使用する部材はその工事の原価と認識し未成工事支出金勘定で処理する点がポイントです。
通常は工事番号(工番)を振って工番ごとに工事期間すべての原価を管理します。あまりに長期にわたる場合や入札物件によっては一期工事・二期工事という具合に工期を分割する場合もあります。
原価は会計年度ではなく工事の完成を基準に算出します。会計期間をまたぐ「期またぎ」の損益は工事進行基準で把握する点もポイントです。

仕入に付随する費用の処理方法には注意!仕入諸掛とは

商品の仕入時には、運送料金や手数料など各種の費用が発生します。これらの付随費用の処理には大きくわけて2種類あります。
① 仕入勘定として処理する
② 発生する付随費用を仕入とは別勘定の「仕入諸掛」で処理する
①の方法は処理的には簡便で一般的な処理です。簿記を学んだ人であれば、仕入商品に係る運送料は仕入商品の代金として仕訳すると教えられたのではないでしょうか。
②は各種費用がある程度の金額であり、仕入商品本体の勘定を把握したい場合などに会社独自で設定して運用します。
仕入諸掛で注意する点は期中に発生した付随費用がすべて当期の費用となるわけではないことです。仕入諸掛は決算で売上原価に算入しますが、期末在庫に対応する仕入諸掛は「繰越仕入諸掛」として翌期に繰越しますので注意しましょう。
仮に商品10,000円、引取運賃500、掛買いしている場合の仕訳をしてみましょう。
運送料を仕入諸掛勘定で処理する仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入10,000買掛金(商品代金)10,000
仕入諸掛500買掛金(運送料)500

 
運送料を仕入勘定で計上する仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入10,500買掛金(商品代金・運送料)10,500

 
仕入に係る付随費用は購入側の負担となるのが一般的ですが、基本契約などにより一定料金を仕入先が負担する場合もあります。
その場合は自社の費用とせず立替金や仮払金で処理して支払時に相殺するか、もしくは請求して回収します。
仕入先が負担すべき引取運賃を現金で立替払いした場合の仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入10,000買掛金10,000
立替金(仮払金)500現金500

 
買掛金の支払時に相殺する仕訳例

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
買掛金10,000預金8.800
  振込手数料700
  立替金(仮払金)500

 
期末時点で立替金や仮払金の勘定で残高があれば決算整理仕訳で未収入金に振り替えるようにしましょう。

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まとめ

経理担当であれば仕入勘定を使った仕訳をきったことがあると思いますが、諸費用の処理には注意が必要です。
計上基準や記帳、原価の認識などもあわせて理解しておくとよいのではないでしょうか。

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