帳票管理

注文書・発注書の保管期間と方法は?【法人なら10年・個人事業主なら7年が安心】

更新日:2024.02.13

この記事は約 4 分で読めます。

注文書や発注書も電子帳簿保存法の対象になることはご存知でしょうか?本記事では注文書や発注書の保管期間や保存方法について、解説していきます。

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【はじめに】 注文書(発注書)の保管期間

  • 法人:税法7年、欠損金の繰越控除適用・会社法10年
  • 個人事業主:所得税法5年、消費税納税業者7年

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注文書とは?知っておきたい取引書類の流れ

注文書は取引の流れの中で発行される書類の一つです。
そもそも、注文書とは何か?という点について簡単におさらいします。

注文書とは?発注書との違いは?

注文書とは、依頼主が正式に注文をした際に発行する書類のこと。
注文書を受けた側が発行する「注文請書」とセットで、契約が成立したことになります。
注文書と発注書は同じ意味で使われていることも多いですが、会社によっては以下のように使い分けていることもあります。

  • 注文書:商品の(物品)を注文するときに使用
  • 発注書:サービス(業務委託など)をするときに使用

社内で注文書と発注書が混在しているとわかりにくいので、ルールを整備しておくと良いでしょう。

知っておきたい取引書類の流れ

商慣習で使われる取引書類の流れについてここで整理しておきましょう。

  1. 見積依頼書*:発注者が見積もりを依頼する
  2. 見積書:金額・納期などを記した見積書
  3. 注文書*:正式な注文を依頼する書類
  4. 注文請書:注文を確かに受け取りましたと証明する書類
  5. 納品書:納品した商品の明細書
  6. 受領書*:商品を確かに受け取りましたと証明する書類
  7. 請求書:料金を請求する書類
  8. 領収書:料金を確かに受け取りましたと証明する書類

*は発注者が発行する書類
注文書・発注書は見積りを依頼した側が正式に注文を出すときに発行されます。見積りなしで、注文書・発注書が取引のはじめの書類のこともあります。
領収書以外の書類は発行義務がないので、上記のすべての書類が発行されるわけではありません。

注文書の保管期間は法律で決まっている【法人なら10年が確実】


注文書などの帳簿書類の保管期間は、税法や会社法など法律に定められていて、法人か個人事業主かによって異なります。

✅ 注文書の保管期間

  • 法人:税法7年、欠損金の繰越控除適用・会社法10年
  • 個人事業主:所得税法5年、消費税納税業者7年

長いほうの期間を採用しておけば安心なので、法人なら10年・個人事業主なら7年の保管が確実といえます。
それぞれ解説していきます。

法人の注文書の保管期間|10年が確実

法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「書類」といい、帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。

国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法
法人は、注文書や領収書、請求書といった帳簿と紐づく書類は7年間保存すると税法で決められています。
ここでいう「7年」とは、注文書の発行日から10年ではなく事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から、という点に注意。確定申告書の提出期限は、事業年度の最終日から2か月です。
たとえば、3月決算の会社が2020年12月に受け取った注文書の保管期限についてみてましょう。

  • 注文書の受け取り:2020年12月
  • 決算:2021年3月末
  • 確定申告の提出期限:2021年5月末
  • 注文書の保管期限:2028年5月末

また、欠損金の繰越控除(赤字部分を翌年の利益から控除できるしくみ)を適用するなら、帳簿書類の保管期間は10年となります。
さらに、会社法では会計帳簿の保存期間を10年と定めています。注文書は会社法で定める会計帳簿にはあたりませんが、会計関連の書類は10年の保管、と決めて保存すると社内で管理がしやすいでしょう。

個人事業主の注文書の保管期間|7年が確実

個人事業主の場合、青色申告・白色申告を問わず注文書の保管期間は5年です。
法人と同様、書類の発行日から起算ではなく、確定申告の期限から5年です。ただし、会計帳簿の保管期間は7年です。
✅ 青色申告の場合の帳簿・書類の保存期間

帳簿仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など7年
書類決算関係書類7年
損益計算書、貸借対照表、棚卸表など
現金預金取引等関係書類領収証、小切手控、預金通帳、借用証など7年(※)
その他の書類取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)5年

※※前々年分所得が300万円以下の方は、5年
✅ 白色申告の場合の帳簿・書類の保存期間

帳簿収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)5年
書類決算に関して作成した棚卸表その他の書類5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類5年

個人事業主でも、課税売上1000万円以上の消費税納税事業者は帳簿書類の保管期間が7年です。
個人事業主の場合は会計に関する書類はまとめて7年保存しておく、と覚えておくと確実です。

注文書などの帳簿書類、保管してないとどうなる?

帳簿書類がきちんと保管されていないと、経費として処理していたものが認められずに追徴課税(追加で税金を支払うこと)を求められることがあります。
税務調査で提示が求められたときにすぐに出せるように、整理して保存しておくことが大切です。

注文書と下請法の関係は?【下請法の書類保管期間は2年】

下請事業者の保護のための「下請法」では、親事業者が業務を委託した内容を書面で交付することや支払の期日を60日以内にすることなどが義務付けられています。
注文書・発注書は、親事業者が発行を義務付けられた書類の中に含まれていると考えられ、保管期間は2年とされています。
くわしくは公正取引委員会「下請法とは」で確認してください。
注文書・発注書の保管期間は、下請法よりも税法の方が長いため、長いほうの期間で保管しておけば問題ありません。

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注文書の保管方法【紙で保存する場合】

この章では、注文書の保管の方法について解説していきます。
なお、注文書を発行した側の控えについては、控えを発行したのであれば保管義務がありますが、控えがなければ特に保管は必要ありません。
受け取った注文書は、ただ保管しておくだけではなくきちんと納品まで完了しているのかまでを管理する必要があります。

注文書のファイリング手順

注文書が届いたら、納品処理済、未処理をあらかじめ分けておくことが重要です。
その上で、処理済みの注文書は以下の手順で整理し、保管していくことをおすすめします。

  1. 月別にファイリング
  2. 取引先別にファイリング
  3. ボックスに月別・年度別に入れておく

注文書を紙で保管するとなると、会社によっては膨大な量になると考えられます。注文書をエクセルでもデータ化しておくなどして、必要な時に取り出せる工夫が必要です。
また、自社での保管スペース・管理にかかる人件費を考慮し、外部の業者に書類管理を委託したり、次に述べる電子化したりすることを検討してみるのもよいでしょう。

電子データを書面出力するのがNGに【2022年1月〜】

2022年1月改正の電子帳簿保存法により、メール等で電子的に受け取った注文書を印刷した紙を保存することが認められなくなりました。電子帳簿保存法については以下の記事で詳しく解説しています。

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注文書の保管方法【電子保存する場合】

電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、注文書を電子的に保存することが可能です。

なお注文書の電子化は電子帳簿保存法の改正に伴い、その保存方法に変更点がありました。さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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紙の注文書を受領した場合【スキャナ保存】

紙の注文書を電子データで保存する際は、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存方式に則る必要があります。実際の作業の流れとしては①スマートフォンで紙原本を撮影したり、スキャナで読み込み、自社開発or市販システム上にアップロードし、②2ヶ月以内に画像データにタイムスタンプを付与する(訂正削除の記録が残るシステムであれば、タイムスタンプ付与は不要)運用になります。なお外部ベンダーの提供しているタイムスタンプ付与型のシステムであれば、基本的にはユーザーが画像データをアップロード後にタイムスタンプが自動的に付与されるため、②に関してはユーザー側での特別な対応は不要です。

電子データの注文書を受領した場合【電子取引】

電子データのままの保存は、電子帳簿保存法の電子取引方式に則る必要があります。実際の運用としては、紙の電子化時と基本的には同じです。①受け取ったPDF等を自社開発or市販システム上にアップロードし、その上で②2ヶ月以内に画像データにタイムスタンプを付与する(訂正削除の記録が残るシステムであれば、タイムスタンプ付与は不要)運用になります。なお外部ベンダーの提供しているタイムスタンプ付与型のシステムであれば、基本的にはユーザーが画像データをアップロード後にタイムスタンプが自動的に付与されるため、②に関してはユーザー側での特別な対応は不要です。

電子保存にはこのように要件を満たす必要がありますが、自社での対応は手間が大きいと予想されるため、外部ベンダーの電子データ保存用のサービスを利用するのが有効です。

代表的な文書管理システム「TOKIUM電子帳簿保存」では、あらゆる国税関係書類(見積書・請求書・納品書・契約書・発注書等)をオンラインでまとめて管理することが可能です。

書類の電子管理ができることに加え、原本の受領とスキャン・データ入力・保管まで代行されます。そのため、電子帳簿保存法に対応する追加の手間をなくせるだけでなく、紙と電子データの二重管理からも解放され、完全なペーパーレス化を実現できます。

TOKIUM電子帳簿保存は、電子帳簿保存法に対応したシステムの証であるJIIMA認証を受けているサービスです。月額費用は、基本利用料(1万円〜)+書類の保存件数に基づく従量制で決まります。また、利用できるアカウント数は無制限なので、従業員が何名で利用しても追加料金が一切かかりません。したがって、企業規模に関わらず、最小限のコストで電子帳簿保存法への対応が可能です。

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「電子帳簿保存法にタイムスタンプは不要?費用や仕組みを徹底解説」

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