領収書の原本保管は義務?コピーは会計上大丈夫?
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「領収書の原本を紛失した!コピーじゃダメ?」「領収書の7年間原本保管が大変過ぎる!コピーやスキャンデータで保管したい!」
領収書は絶対に原本でなければならない、なぜかこのように思い込んでいませんか?実は領収書は原本以外の保管方法も選択できる時代となりつつあります。領収証原本の7年間保管については、「電子帳簿保存法」の改正によりデータでの保管が認められはじめました。
原本を絶対に保管しなければいけない時代が終わりつつある中、コピーや電子データの取り扱いについても注意が必要になっています。この記事では領収書コピーの取り扱いや、領収書保管の電子化のメリット・デメリット・注意点を紹介します。
『電子帳簿保存法の最新改正情報』について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
領収書のコピーはグレーゾーン!避けた方がいい2つの理由と対処法
理由1.改ざんの余地があるから
そもそも領収書は必ず原本でなければ精算できないのでしょうか。実のところ、領収書のコピーを使用することは税法上は問題ないとされています。それではなぜ領収書のコピーを避けた方がいいと言われているのか。それは、税務調査の担当者によっては不信感を抱かれてしまうリスクがあるからです。
領収書は原本と比較してコピーの方が改ざんしやすいというのは紛れもない事実です。例えば原本を改ざんをしたものなら筆跡等から見抜くことができますが、改ざんしたものをコピーされてしまうと見抜くのがとても難しくなってしまいます。
具体的には、数字の3から8、1から4などの改ざんは形が似ているため、比較的簡単にできてしまいます。これが可能になると、極端なことを言うと13,000円の領収書を使って48,000円へ改ざんする事も可能となってしまいます。そのため、コピーの領収書を受理するのは避けた方が無難です。
理由2.何度も精算してしまうミスが起こりやすい
領収書のコピーを受理して精算してしまうと、後日、今度は原本で二重請求されても気付かずに精算してしまうリスクがあります。毎日大量の領収書の精算を行っていると、数日後に全く同じ領収書が提出されても気付くことができません。しかし、毎回過去の領収書と照らし合わせるのは人件費の無駄にもなるため避けたいところです。
そこで、領収書のコピーを会社ルールでNGと定めれば、二重請求のリスクが大幅に減少します。また、過去の領収書と照らし合わせる労力も不要となるため、多くの企業が領収書は原本しか認めないという会社ルールを定めています。
領収書の原本がなくても諦めないで!領収書の代わりとなるもの
それでは、領収書が手元にない場合は精算を諦めなければいけないのでしょうか?
答えはNOです。もちろん紙の領収書をコピーするのはダメですが、手書きの領収書以外のものを使って精算するのは、金銭のやりとりがあったことの証拠となる資料であれば問題ありません。
例えばネットショッピングなどの場合は紙の領収書の発行がない場合がほとんどです。その場合は購入金額を振込した際の明細書や、クレジット決済した場合はクレジット明細が領収書の代わりとなります。
領収書の原本保管は不要?電子化になった経緯とメリット・デメリット
領収書の原本保管が楽になる「電子化」が認められた経緯とは
昨今では、領収書を電子化して保管することが認められつつあります。この章では電子化が認められた経緯やメリットについて紹介します。
まず領収書の保管の電子化が認められた経緯として、「電子帳簿保存法」という法律が1998年に制定されました。これは領収書や契約書を電子データで保存することを認めるという法律です。しかし、制定された当時は領収書の上限金額やスキャンデータの大きさなど、さまざまな制限が設けられていました。
電子帳簿保存法は2016年と2018年に大幅な規制緩和が進められました。2016年の改正で原則7年間の保管の義務も条件次第では不要となり、2018年の改正ではスマートフォンで撮影されたデータも認められるようになりました。完全に電子化で保管できるようになったことで、領収書の保管方法を電子化に切り替える企業が増加しています。
電子化の4つのメリット
領収書の保管を電子化に切り替えるメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 紙の劣化により領収書の印字が見えなくなるなどの問題が電子化ならおこらない
- 7年分の領収書を紙ベースで保管するための人件費や保管スペース等のコストが削減できる
- 監査や内部調査などの資料検索が格段に楽になる
- 領収書を電子化することでオフィス以外の場所でも領収書データの確認が可能になる
領収書の保管方法を電子化に切り替えることで、コスト削減や紙ベースと比較して資料の取り扱いが簡易的になる点が、電子化の最大のメリットといえます。
電子化の3つのデメリット
逆に領収書の原本保管を電子化するデメリットはどのようなことがあるのでしょうか?
- 領収書の申請者に領収書の撮影方法などの教育が必要になる
- 電子化するための下準備にシステム費などの費用が発生する
- 新しい制度の為、税務調査で指摘を受ける可能性もある
新制度の導入となると、特に昔から従来の制度に慣れ親しんだ社員から反対を受けることも考えられます。また、導入までの下準備の大変さや費用が発生する点、新制度に税務署もまだ慣れていない為、税務調査で従来の方法をとっていれば指摘されなかったことを指摘されてしまうかもしれない点がデメリットとして挙げられます。
もし導入を考えている場合は、税理士や会計士などの専門家へ相談しつつすすめると確実です。
電子帳簿保存法のメリットやデメリットはこちらの記事でも詳しく紹介されているので併せて参考にして下さい。
領収書の原本保管を手軽に!電子化するための3つの注意点
注意点1.3ヶ月前までに申請を行う必要がある
制度やメリット・デメリットを知った上で、さっそく領収書の保管方法を電子化に切り替えたいと考える方も多いのではないでしょうか?電子化を行うにあたり必要な下準備がありますので注意点として紹介します。
まず、領収書保管の電子化をするには事前申請が必要となります。申請を行わない状態で、領収書の保管方法を電子化に切り替えて原本を捨ててしまわないよう注意しましょう。
では、どのような書類の提出が必要となるのか。国税庁のホームページから「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」がダウンロードできます。こちらを使って申請しましょう。
詳しい申請方法については、こちらの記事がとてもわかりやすいので参考にしてみてください。
注意点2.「タイムスタンプ」が必要
スキャンした領収書データはそのままでは使えません。領収書データに「タイムスタンプ」が必要である点に注意しましょう。
タイムスタンプとは認定事業者が領収書データに時刻認証を行うことです。認定業者はまだまだ少ないですが、現在ではクラウド精算システムにもタイムスタンプが実装されているものがあるため、領収書の保管を電子化する予定がある方は、システム選びの際に注目してください。
タイムスタンプの役割や発行方法、対応している精算システムについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
注意点3.改正前の領収書は原本保存が必要
申請書の提出やタイムスタンプの準備ができたら、申請日以降の領収書の保管を電子化に切り替えることができます。
ここで注意したいのが、申請以前の領収書についてです。申請日以降のものは電子データを保管すればよいのですが、申請日以前の領収書は原本を7年間保管することが義務付けられています。
また、申請後の領収書でも、電子化してすぐに処分すると経理処理に問題が生じることもあります。電子化した後の領収書の処分方法については、経理担当者に意見を聞いたり、会社のルールを確認して対応しましょう。
領収書を電子化するならレシートポストがオススメ!電子帳簿保存法の申請代行も!
領収書を電子化して管理するにはなんらかのシステムを提供する必要があります。
そこでオススメはレシートポストです。
レシートポストではスマホで領収書を撮影するだけで、金額や日付が自動入力されます。
そのため、電子化が達成できるばかりか、手動入力も必要なくなります。
もちろん電子帳簿保存法へ完全対応しています。また、専任のコンサルタントが電子帳簿保存法への申請サポートや申請書類作成の代行も行っております。
まとめ
領収書のコピーや電子データの取り扱いについて紹介しました。特に電子化については申請やタイムスタンプなど、事前準備を行った上で取り入れることが重要です。
コピーや電子データの領収書は、どうしても原本に比べて改ざんしやすくなってしまいます。電子化を取り入れる際には、正しい処理を行う事ができる社内ルールを提示するなど、環境を整えることも着手しましょう。
事前準備や注意点は多いですが、7年分の領収書が電子化されるのは非常に便利ですし、保管するための倉庫のスペースや資料整理のための人件費等が減る事は、結果的にコスト削減にもつながります。今回の記事を参考に、領収書保管の電子化も検討してみてください。