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一括償却資産とは?少額減価償却資産との違いを解説!

経理職員

会社が固定資産を取得した場合、会計上は複数の処理の仕方が考えられます。

処理によって得られる効果が異なりますので、その会社にとってどの処理方法が適切であるのか、「一括償却資産」と「少額減価償却資産」に焦点を当てて、解説していきます。

1.固定資産を取得した場合に考えられる、会計上の処理

a.10万円未満

10万円未満のもの(又は使用可能期間が1年未満のもの)は、重要性が低いものとして、購入時に消耗品費として費用処理することができます。

ただし、ここで注意して頂きたいのが、10万円未満(又は使用可能期間が1年未満のもの)のものであっても、全額費用処理をするかどうかは、あくまでもその法人の任意であるということです。

b.10万円以上

10万円以上のものは固定資産となります。そのため、減価償却をする必要があります。

ただし、10万円以上で固定資産に該当することになったものでも、以下のものについては通常の減価償却以外の方法を選択することができます。

  • 20万円未満…「一括償却資産」として処理することができます。
  • 20万円以上30万円未満…中小企業者等*の場合、「少額減価償却資産」の処理も可能です。

※租税特別措置法上の「中小企業者等」をいいます。

具体的には、普通法人に限定すると、「資本金の額が1億円以下の法人で、資本金の額が1億円超の大規模法人1社に発行済株式の2分の1以上を所有されていない、又は、複数の大規模法人に発行済株式の3分の2以上を所有されていない法人」と定義されています。

また、平成 28 年度の税制改正において、本制度の対象となる中小企業者等について、「常時使用する従業員の数が 1,000 人以下の法人」に限定されました。

ここでは、「一括償却資産」と「少額減価償却資産」に焦点を当て、会計上(財務諸表上の影響)と税務上(税金の計算に及ぼす影響)の効果の違いについて解説します。

2.一括償却資産とは

一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の減価償却資産(新品でも中古でも、どちらでもOK)で、以下のいずれにも該当しないものをいいます。

一括償却資産処理をする場合、取得した資産は、取得事業年度において事業の用に供している必要があります。

会計上の処理は取得価額の全部(一部でも可)を費用に計上し、税金計算上は当期を含む3年間で均等に損金の額に算入することになりますので、必要に応じて申告調整を行います。

  • 国外リース資産
  • リース資産
  • 10万円未満又は使用可能期間1年未満の資産で、取得価額の全額が損金の額に算入されたもの

3.少額減価償却資産とは

少額減価償却資産とは、青色申告書を提出する中小企業者等が取得した取得価額30万円未満の減価償却資産(新品でも中古でも、どちらでもOK)をいいます。

少額減価償却資産処理をする場合、取得した資産は、取得事業において事業の用に供している必要があります。

また、取得価額の全額を会計上費用に計上し、税金計算上も取得価額の全額を当期の損金の額に算入します。

なお、この規定の適用を受けられるのは、一事業年度につき、合計300万円までとなっています。

4.一括償却資産と少額減価償却資産を適用する場合の取得価額の判定

取得価額は、法人が税抜経理方式を採用しているのであれば「税抜価格」、税込経理方式を採用しているのであれば「税込価格」で判定します。

例えば、税抜経理方式を採用している中小企業者等が税込313,200円(消費税は8%)のパソコンを購入した場合、税抜金額は290,000円となりますので、一定の要件の下、少額減価償却資産として290,000円を費用処理することができます。

一方、税込経理方式を採用している場合は30万円を超えていますので、この規定を適用することはできません。

また、複数の法人や個人がお金を出し合って資産を共同で購入した場合、共有持分で按分した後のそれぞれの取得価額で少額減価償却資産や一括償却資産に該当するかどうかの判定を行います。

例えば、青色申告書を提出する個人事業主AとBが事務所を共有(持分はA:60%、B:40%)しており、応接室が古くなったので、最新の応接セットを60万円で設置した場合の取得価額は以下の通りです。

  • 個人事業主A:60万円 × 60% = 36万円 … 通常の減価償却
  • 個人事業主B:60万円 × 40% = 24万円 … 少額減価償却資産の特例(又は通常の減価償却)

5.一括償却資産と少額減価償却資産の違い

10万円未満の全額経費にできる少額資産 一括償却資産 少額減価償却資産
青色申告書の提出 要件無し 要件無し 青色申告書
適用可能法人 全法人 全法人 中小企業者等
要件 ・10万円未満又は使用可能期間1年未満
・事業供用
・取得価額相当額を損金経理*
・20万円未満
・事業供用
・全額又は一部を損金経理
・10万円以上30万円未満
・事業供用
・取得価額相当額を損金経理
届け出 無し 無しただし、確定申告書に明細書(一括償却資産の損金算入に関する明細書)を添付 無しただし、確定申告書に明細書(少額減価償却資産の取得価額に関する明細書)を添付
※租税特別措置法の規定なので、適用額明細書の記載が必要
償却資産税 対象外 対象外 対象ただし、課税標準額が合計150万円未満の場合、課税されない
固定資産税 非課税 非課税 課税ただし、課税標準額が合計150万円未満の場合、課税されない

* 損金経理とは、確定した決算において費用又は損失として計上することをいいます。

そのため、損金経理が要件となっている場合は、確定した決算において費用又は損失計上せずに、確定申告書を作成する段階で申告調整により損金の額とすることは認められません。

6.「一括償却資産」に資産を区分した時に得られるメリット

国税庁が出している耐用年数表によると、20万円未満の固定資産(主に器具備品)の耐用年数は、3年を超えるものがほとんどです。

例えば、金属製の事務机は15年、パソコンは4年など、設定されている耐用年数が3年を超えるものであっても一括償却資産として処理をすれば、3年間で取得価額の全額を経費にすることができますので、節税を通して資金繰りが改善するといったメリットがあります。

7.「少額減価償却資産」に資産を区分した時に得られるメリット

事業年度末に減価償却資産を取得した場合、通常は1ヶ月分の減価償却費しか計上することができませんが、この特例を利用すれば、たとえ事業年度末だったとしても、取得価額の全額を経費にすることができますので、節税を通して資金繰りが改善するといったメリットがあります。

8.償却期間を短くするデメリット

費用処理もしくは償却期間を短くするデメリットも存在します。

具体的には、「節税」と表裏一体で、費用処理もしくは償却期間を短くすることは、その分利益を押し下げることになります。

そのため、銀行から融資を受けようとしている場合や、投資家から出資を受けようとしている場合には、利益が出ていないといった理由から、マイナス方向に働く可能性があります。

また、資産を購入するということは、会社のキャッシュを減らすことになりますので、「使わないかもしれないけど、節税のために買っておこう」といった考えで資産を購入することはおすすめしません。

【設例①】青色申告書を提出する個人事業主が、1台24万円のパソコンを24回払いで購入した場合

この方は、青色申告書を提出する中小企業者等に該当し、購入したパソコンの金額は30万円未満であることから、少額減価償却資産の特例を適用することができます。

購入時にお金を全額支払ったかどうかは別の話となりますので、「取得価額相当額」を会計上費用として処理をしておけば、一定の要件の下、税金計算上損金の額に算入されることとなります。

通常の減価償却を行うこともできますが、基本的には、少額減価償却資産処理をした方が、取得価額の全額を経費にすることができますので、当期の税金の額を抑えることができます。

【設例②】青色申告書を提出する個人事業主(免税事業者)が、1台税抜198,000円のパソコンを現金一括払いで購入した場合

消費税の免税事業者(消費税の申告納税をする必要の無い事業者)であれば、税込金額で判断します。税抜198,000円は、税込で213,840円となります。

したがって、一括償却資産処理をすることはできませんので、30万円未満の資産ということで、少額減価償却資産の適用を検討することとなります。

この方は、青色申告書を提出する中小企業者等に該当しますので、少額減価償却資産の特例を適用することができます。

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