社会保険料の計算方法とは?標準報酬月額の算定方法を徹底解説!

社会保険料の計算方法について解説します。

「従業員の社会保険料の計算方法が複雑で分からない」という人も少なくないのではないでしょうか?

ちなみに筆者は飲食店を開業して、知識ゼロから従業員の社会保険料の計算をしたことがあります。

その時の経験で最も疑問だったのは「標準報酬月額の計算方法」です。

社会保険料の計算方法は標準報酬月額の計算さえ理解してしまえば難しくはありません。

社会保険料と標準報酬月額の計算方法について解説します。

標準報酬月額に含まれるもの、含まれないもの、標準報酬月額が決定するタイミングについて理解して、正しく社会保険料の計算ができるようになりましょう。

社会保険料とは

社会保険とは一般的に以下の保険を指します。

  • 労災保険
  • 雇用保険
  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 国民年金保険

このうち、会社の経理担当者が計算して給料から控除しなければならないのは、健康保険料厚生年金保険料介護保険料の3つです。

これを狭義の社会保険と言います。

ここでは、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の計算方法を解説していきます。

社会保険料の計算方法

社会保険料の基本的な標準報酬月額に保険料率を乗じて計算します。

社会保険料の計算は以下の手順で行うことが最も簡単です。

  1. 自分の会社の健康保険の保険料率を調べる
  2. 従業員の標準報酬月額を決定する

それぞれのプロセスについて詳しく解説していきます。

健康保険保険料率は保険の種類と都道府県によって異なる

健康保険の保険料率は保険の種類と都道府県によって異なります。

健康保険には、国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合などの種類がありますが、それぞれの健康保険によって保険料率は異なります。

なお、中小企業の従業員が加盟している協会けんぽの保険料率は都道府県によって異なります。

まずは、自分の会社の健康保険料率を調べるようにしましょう。

ちなみに令和2年度の東京都の協会けんぽの保険料率は以下のようになっています。

  • 健康保険:9.87%
  • 厚生年金保険:11.66%

協会けんぽの保険料率は協会けんぽホームページから簡単に調べることができますので、まずは確認してください。

標準報酬報酬月額に保険料率を乗じて計算する

報酬標準月額とは従業員の月額報酬基づいて区分されている社会保険料試算用の金額です。

標準報酬月額は報酬に応じて以下のように等級が決まっています。

  • 健康保険・介護保険は5万8000円~139万円まで:計50等級
  • 厚生年金は9万8000円~62万円まで:計30等級

従業員の月額報酬から決められた標準報酬月額に、あらかじめ決められた保険料率を乗じることで従業員の社会保険料が決定します。

例えば、報酬月額が250,000円から270,000円の人の標準報酬月額は以下のようになっています。

等級 標準報酬月額 月額報酬
20 260,000円 250,000円〜270,000円

 
東京都の協会けんぽの保険料率は介護保険第2号被保険者に該当しない場合で9.9%となっており、20等級の場合の健康保険料は以下のようになります。

  • 健康保険料

260,000×9.9%=25,740円(折半額12,870円)

  • 厚生年金保険料

また、厚生年金保険料率は18.3%となっているので、以下のように計算します。

260,000×18.3%=47,580円(折半額27,390円)

  • 介護保険料

介護保険は40歳以上の人が健康保険とセットで加入する保険です。

令和2年の協会けんぽの介護保険料率は1.79%ですので、標準報酬月額に1.79%を乗じた金額を従業員と会社で折半して支払います。

260,000×1.79%=4,654円(折半額2,327円)

上記の折半額が従業員が支払うべき金額ですので、従業員の給料から源泉徴収する必要があります。

『源泉徴収』について疑問に思った方は、こちらの記事もご覧ください。

源泉徴収税額とは?計算方法や源泉徴収税額表の見方を徹底解説!

従業員の標準報酬月額の決定方法

社会保険料は標準報酬月額さえ決まってしまえば、そこに保険料率を乗じるだけですので、社会保険料の計算は簡単です。

しかし、標準報酬月額とは従業員に支払っている給料そのままではありません。

報酬の中には標準報酬月額に含まれるものと、含まれないものがあります。

標準報酬月額算定のための「報酬月額」とはどのようにして計算するのでしょうか?

報酬月額に含まれるもの

標準報酬月額に含まれるものは、基本給や残業代だけではありません。

以下のような手当も標準報酬月額に含まれます。

  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 役職手当などの各種手当

標準報酬月額は、従業員の給料や残業代などの必要経費部分だけだと思われがちですが、報酬月額には、通勤手当や住宅手当などの労働の対価ではない部分も含まれるので注意しましょう。

報酬月額に含まれないもの

一方、祝金や経費などの以下のような支払いは標準報酬月額には含まれません。

  • 結婚祝い金
  • 出産祝い金などの各種祝い金
  • お見舞金
  • 出張旅費などの経費
  • 賞与(年3回)

賞与は標準報酬月額に含まれませんが、別途社会保険料が発生します。

計算方法については後ほど詳しく解説します。

報酬月額は総支払額から報酬月額に含まれないものを控除することで算出することが可能です。

標準報酬月額が決定する4つのタイミング

標準報酬月額は、従業員の給料のうち一定期間の平均値を算出して決定する定時決定と、支払われる報酬月額が大幅に変更された時に決定する随時改定、産休終了後、育休終了後の4つのタイミングがあります。

標準報酬月額が決定する4つのタイミングについても理解しておきましょう。

タイミング1.定時決定

毎年7月1日なる前の3ヶ月(4月から6月)の報酬の平均値で標準報酬月額を算出します。

これを定時決定と言います。

7月以降の給料が変動しても、4月から6月までの報酬の平均で標準報酬月額は決定し、そこから計算された社会保険料を9月から翌年8月までの給料から源泉徴収していくのが原則になります。

定時決定は以下のように計算します。

4月 5月 6月 標準報酬月額算定のための平均月額報酬
総支払額 305,000円 296,000円 312,000円
標準報酬額計算に含まない各種手当 48,000円 41,000円 52,000円
報酬月額 257,000円 255,000円 260,000円 3ヶ月平均
256,300円

 
この場合、協会けんぽの令和2年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)によると、標準報酬月額は20等級の260,000円となります。

タイミング2.随時改定

定時決定の他にも随時改定というタイミングで標準報酬月額が変更になることもあります。

随時改定は、支払われる報酬月額が大幅に変動した場合に限って、事業主からの届出に基づいて標準報酬月額を改定するというものです。

具体的には、3ヶ月間継続的に支払われた報酬総額を3ヶ月で除した額の標準報酬月額がこれまでの標準報酬月額と比較して、2等級以上の差が生じたときには随時改定を行わなければなりません。

例えば、これまで標準報酬月額が260,000円(20等級)だった人が、3ヶ月の報酬月額の平均で300,000万円になった場合には22等級になっていますので、随時改定をしなければなりません。

タイミング3.産前産後休業終了時改定

産前産後休業が終了したタイミングでも標準報酬月額が改定されることがあります。

休業終了後3ヶ月の報酬合計÷3ヶ月で算出した報酬月額が、休業前の標準報酬月額と比較して1等級以上の差が発生する場合には、事業主からの届出に基づいて標準報酬月額を改定します。

タイミング4.育児休業終了時改定

育児休業が終了したタイミングでも標準報酬月額が改定されることがあります。

育児休業が終了後の3ヶ月の報酬合計÷3ヶ月で算出した報酬月額が、育児休業前の標準報酬月額と比較して1等級以上の差が発生する場合には、事業主からの届出に基づいて標準報酬月額を改定します。

パートタイムの社会保険料の計算方法

パートタイム従業員も以下の条件を満たす場合には標準報酬月額を計算して、社会保険料を源泉徴収しなければなりません。

  • 1日または1週間の所定労働時間
  • 1カ月の所定労働日数

このいずれかが正社員のおおむね4分の3以上であれば標準報酬月額を決定します。

パートタイムの標準報酬月額はどのように計算すべきでしょうか?

パートタイムの標準報酬月額の計算方法

パートタイムの標準報酬月額の計算方法は以下の通りです。

時給×1日の労働時間×年間所定労働日数÷12ヶ月

時給1,000円で、1日7時間労働、年間所定労働日数200日の場合の標準報酬月額は以下のように計算します。

1,000円×7時間×200日÷12ヶ月=116,666円

報酬月額は116,666円となります。

報酬月額116,666円の人の協会けんぽの標準報酬月額は118,000円です。

この場合は、118,000円に健康保険料率、介護保険料率、厚生年金保険料率を乗じて、社会保険料を求めることができます。

ボーナス時の社会保険料の計算方法

ボーナス時に従業員から社会保険料を源泉徴収する場合の計算方法は、標準報酬月額とは分けて計算する必要があります。

ボーナス時の社会保険料の計算の基準となる報酬は「標準賞与額」と言います。

標準賞与額の計算は、税引き前の賞与額から1千円未満の端数を切り捨てた金額になります。

ボーナス時の標準賞与額の計算方法

例えば、賞与が519,754円だった場合には、標準賞与額は519,000円です。

賞与は通年で計算するのではなく、賞与のたびに標準賞与額を算出し保険料率を乗じて保険料を源泉徴収します。

なお、標準賞与額には限度があり、健康保険と厚生年金によって以下のように異なります。

  • 健康保険の上限:年度の累計で573万円
  • 厚生年金の上限:1ヶ月あたり150万円

健康保険の場合、年度の累計で573万円ですので4月から3ヶ月までの年度の間に573万円超の賞与を受けとっていた場合には、標準賞与額は573万円になります。

また、厚生年金の場合、1ヶ月で150万円を超えることができないので、1度の税引き前賞与が150万円を超える場合には標準賞与額は150万円となります。

退職者の任意継続被保険者制度による保険料の計算方法

退職者が任意継続被保険者制度によって健康保険を継続する場合には、以下の方法によって保険料を計算します。

会社を退職した時の標準報酬月額×当該退職者の住まいのある都道府県の保険料率

退職時の標準報酬月額が30万円超になる場合には、30万円が標準報酬月額となる点に注意しましょう。

社会保険料の天引きと納付

社会保険料の支払期限は翌月末です。

例えば1月分の社会保険料は2月末に納付します。

従業員の給料から源泉徴収して社会保険料を支払うパターンとしては以下の2つがあります。

  • 2月分の給料から源泉徴収した分を2月末に支払う:その月に天引きした分をそのまま納付する
  • 1月分の給料から源泉徴収した分を2月末に支払い:前月分の天引きした分を翌月納付する

実務上はどちらの方法でも構いませんが、多くの企業では源泉徴収した分は当月中に納付しているようです。

なお、社会保険の資格喪失日は退職日の翌日です。

1月31日に退職した場合には2月1日が資格喪失日となるので、3月末に2月分の社会保険料を支払わなければなりません。

2月分の社会保険料を源泉徴収することを忘れないようにしましょう。

まとめ

社会保険料の計算は、標準報酬月額に保険料率を乗じることで算出することができます。

保険料率はあらかじめ決められているので該当する保険料率を調べるだけです。

標準報酬月額は4月〜6月までの総支給額から手当や賞与などを控除した報酬月額の平均値から算出します。

なお、ボーナスは標準報酬月額とは別に標準賞与額するので注意しましょう。

雇用保険料の計算方法』について気になる方はこちらをご覧ください。

雇用保険料率の計算方法とは?業種ごとの3つの料率と対象賃金を分かりやすく解説

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